ビジネスインサイツ57
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には、中食化やデザート商品のヒットの要因から、この 20 年くらい市場の拡大が続いている。
全社視点での収益改善を主軸にした提案をしてくれまし た。製造現場の立て直しは大きな課題だと感じてはいま したが、ノウハウがなく、この機会に生産構造を抜本的 に変えて筋肉質な体質にして行きたいという思いでお願 いをしました」と当初の思いを語る。 JMAC からは、シニア・コンサルタントの中西 博紀が 中心となり、 シニア ・ コンサルタントの石山 真実、 チーフ・ コンサルタントの栗栖 智宏と有賀 真也が現場に赴き、診 断からプロジェクトがスタートした。中西は「JMAC か らは、短期速効型のコスト改善と、生産の体質そのもの を変え、収益力を上げる提案をしました。現場の業務遂 行力は非常に高いのですが、お客様に寄り添うがゆえの しわ寄せが出ていると感じました。また、分析に必要な データなど現場それぞれの担当者は把握しているのです が、会社全体として管理する仕組みが整っていませんで した」と当時の状況を語る。 まずは課題の整理のため、全社レベルでの見える化が 始まった。 事務局の品質管理部 部長 益原 雅夫氏は「コンサルティ ングは初めての経験なの で、最初は元データの抽 出、整理、そこからの資 料や指標の作成方法、考 え方を理解するのに精一 杯でした。実際に手を動 かす中で、多岐にわたる 考え方を吸収していきま した」と語る。 事務局の経理部 課長代理 井手口 裕氏は「私はちょう ど 2011 年の経営が厳し い年に入社しました。初 年度は経営判断のための 素材をうまく提供できて いなかったという反省が ありました。他部署から 数字や資料の提供が必須 ですので、時間はかかり
顧客優先の対応が 経営を圧迫していく
同社では急激な環境変化の流れを受けて、事業の主軸 のひとつであるコンビニへのパンやデザートのパッケー ジ提供が急伸していた。2007 年代表取締役社長に就いた 新酒 健広氏は「この数年で今までメインだった商品群に 加えて、デザートなどの新たなヒット商品が生まれ、そ の関連商品が急激に増えました。担当部署はメイン商品 の対応で余力はありません。流通業界特有の商品改廃サ イクルの早さやその対応など、しっかりとノウハウを指 導しきれない中、他部門が担当する体制を組んで急増す るオーダーに対応していきました」と環境の変化への対 応を語る。 急増するオーダーに真面目に応えようとする同社だっ たが、商品改廃サイクルの早さによる資材ロスの発生や、 納期を優先するあまり外注加工費の増加に繋がっていっ た。こうした外部環境の変化への対応は、次第に経営に 大きく影響を与えていき、2011 年から 2 期同社は厳しい 経営状況に陥っていた。 新酒氏は「納期最優先の対応をとっていたため、材料 のロスや外注費が膨らみ、年間数億のコスト増に繋がっ ていました。大きな原因はわかっていましたので、改善 対策は打っていましたが、真因を捉えた根本的改善には 至っていませんでした。そのような時にお付き合いのあ る金融機関から、抜本的な改革をしてはどうかとアドバ イスをもらいました」という。金融機関からの紹介を受 けて、コンサルティング会社数社が提案を行った。新酒 氏は JMAC をパートナーに選び、2013 年 9 月改革へと動 き出した。
▲益原 雅夫 氏
コスト改善に向けて全社の 見える化 から始まった
JMAC を選んだ理由について新酒氏は「JMAC の提案 は非常に現実的で、今回の特殊要因への対応だけでなく、
▲井手口 裕 氏
ながらも集約する努力をしている時に、JMAC からの支 援を受けることになりました。管理指標に対して様々な ノウハウをいただいて、それは今も実践している学びに なりました」と語る。
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