ビジネスインサイツ57
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集約された情報を元に分析と検討を重ね、全社の「収 益改善目標」を設定し、各部署、各部門の改善目標が立 てられ、活動は本格的なスタートを切った。
確実についていたと思います。そのベースがあったから こそ今回の活動で成果を出せると考えていました」 (新酒 氏)
現場の納得感が 活動を確実に動かし始める
事務局の品質管理部 課長 吉野 孝氏は「最初は打ち出 された施策の高さに面喰いましたし、現実とのギャップ を埋めるには社員の意識改革なしに前に進むことができ ないと感じました。今ま で自社になかった価値観 や施策を取り入れて実行 するのですから、最初は 否定的な意見もあって、 なかなか前に進まない焦 り も あ り ま し た。ど う やって浸透させていけば
自分事で考え始め 議論ができるようになった
益原氏は「少しずつ改善結果が見えることで、社員の 意識に変化が現れました。 目標は正直 『そこまでやるのか』 と思う高いものでしたが、JMAC はまるで社員のように 現場に入って、現場目線で一緒に取り組んでくれました。 事務局としては、メンバーが常識や先入観にとらわれず データに基づいた生産性の議論ができるようになったこ とは大きな収穫でした」 。そして次は、部門間の温度差へ の対処が課題だと語る。 吉野氏は「事務局としての苦労は目標達成のための大 切なプロセスだったと思います。また、活動を通して、 社員が一丸となって同じ方向へ進むことが大きな力にな ることを改めて感じました。JMAC は客観的な視点と豊 富な知識、経験で施策とその実行に携わってくれました」 と、JMAC は人間味溢れる集団だとも語る。 改善が少しずつ結果となって現れ、活動はゆっくりとだ が確実に動き出した。2期続いた厳しい経営状況は改善 し、材料費の高騰という更なる波も乗り越える筋肉質な ベースができていった。 井手口氏は「月次で現場の努力から出た成果を報告で きるようになり、通期の結果としても大きな経営改善に 繋がったことは社内のモチベーションにもなったと思い ます。今回の活動で見える化ができ、他部署とのコミュ ニケーションもとれるようになったことで、部門の枠を 超えた議論ができるようになりました。これは大きな変 化です。実は前職でコンサルティングを受けたことがあ りましたが、何も変化が感じられなかったこともあり最 初は期待していなかったのです。今回の活動では、製造 現場も自ら動いて結果を生産に相談する、そんな自分事 として考え始めた動きも見られました」とメンバーの変 化を感じている。
▲吉野 孝 氏
良いのか非常に苦労しました」と語る。 中西は「それまで自社で改善に取り組まれていました が、今回のような目標設定型のコスト改善は初めてだっ たと思います。オペレーションは皆さんプロですが、オ ペレーションをマネジメントする視点を課長クラスに 持ってもらうことを最初の目標としました。また全社の 見える化をすることで、各部門の改善が全社にどう影響 するのか、そういう意識を根付かせたいと思いました」 と語る。 徐々に活動の主旨、事務局の思いが浸透して行く中で、 能動的な協力が得られるようになり、活動が動き出した。 新酒氏は「今まで検討し続けてきた商品を切り替える段 取り時間では、短時間でできる工場と同じように改善す るように言い続けてきました。しかし、何も動かなかっ たのです。 JMAC は両方の工場の同じ作業をビデオに撮っ て比べ、具体的な指導してくれました。現場が『今まで どうして良いかがわからなかった、これなら非常にわか りやすい』と納得感を持って動き始め、リードタイムも 短縮されて標準化が進んでいきました。これは非常に効 果的だと感じた瞬間でした」と語る。 また「市場の急成長に対応してきたため、緊急対応力 や単納期の製品をいかにミスなく納品するかという力は
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