ビジネスインサイツ58
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人と組織(チーム)の力を最大化することを目的に JMAC が 支援した企業事例をご紹介します。
「もう一段高いレベルの成長」を 支える人づくり
〜顧客視点のものづくりは企業理念の浸透から〜
今後の成長には「人づくり」が 欠かせない
三菱電機株式会社(以下三菱電機)は、誰もが知る日本 を代表する総合電機メーカーで、人工衛星、情報通信、家 庭電器、電子デバイス、重電、産業メカトロニクスと幅広 い分野で事業を展開している。 「もう一段高いレベルの成長」の実現に向けて、同社で は強い事業のさらなる強化、強い事業を核にしたソリュー ション事業の強化に取り組む活動が始まっており、2020 年度までに「連結売上 5 兆円以上、営業利益率 8%以上」 という目標を掲げている。生産の現場でも全プロセスにわ たる JIT(Just In Time)改善活動が定着しており、同社 の成長戦略を下支えしている。 新たなステージに向けて進み出した同社だが、2001 年 度には危機的な状況にあったという。人材開発センター・ ものづくり教室長の織田昌雄氏は、 「株価が大きく値を下 げて、会社の存続が危ぶまれる中、現場はものすごく忙し い状況でした。工場の稼動率を上げるためです。しかし、 お客様がついていない製品をつくっていたのです」 と語る。 設備 ・ 装置を導入して徹夜で稼動率を上げていた現場には、 実際には諸々の問題が多発していたという。そこで 2003 年からは JIT 改善活動を導入して、12 年かけて現場に浸 透させてきた。
「JIT 改善活動は企業活動の全プロセスの問題が見える 化されるので、改善活動として大きな効果がありました。 売上原価率も JIT 改善活動の浸透に合わせてじわりじわ りと下がりました。さらに海外拠点の生産性向上にも成果 を出しています」 (織田氏) 。 生産技術畑にいた織田自身は、現場が次第に変わってい くことを感じつつ原価企画や VE などを担当、さらに将来 の技術戦略を企画する中で、 「やはり、人材開発・人づく りが大切」との認識から、昨年から人事部の人材開発セン ターで全社にまたがる研修の企画・運営を担当している。
「ものづくり」プロセスの視点 で講座を体系化したい
同社の人材開発センターは本部を尼崎市に置き、関西・ 神戸・鎌倉の 3 拠点に研修センターがある。人材育成の基 本施策として「コア人材の選抜育成教育」 「ゼミナールに よる新人・若手・中堅の仕事力アップ」 「全社レベルの技 能教育」を掲げている。織田氏はものづくり教室の長とし て、 主に 「生産」 「技能」 に関わる人材育成を担当している。 同センターには、ものづくり教室のほかにも開発、品質・ 環境、電気、電子、機械、ソフトウェア、ビジネス、営業 の多彩な教室があり、三菱電機 10 事業本部 22 製作所の 人材育成に必要な研修メニューが用意されている。 一言で「ものづくり」といっても、その範囲は広い。現
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