ビジネスインサイツ58
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三菱電機株式会社
三菱電機株式会社は 2004 年に技術研修、経営・ビジネ ス系研修を統合させ、人事部内に「人材開発センター」 を設置した。経営戦略の下、事業強化を担う人材育成を 加速するためだ。会社の成長シナリオと人材育成をどう リンクさせるか、時代に合う具体的な育成カリキュラム は何かなどの視点で、全社にまたがる研修の企画・運営 を一手に担っている。選抜コア人材の育成、ゼミ形式の 技術講座、技能向上ための競技大会など、同センターの 活動状況や課題、今後の方針などをお伺いした。
人材開発センター ものづくり教室長
織田 昌雄
Masao Oda
職に就いて 2 年になる織田氏はものづくりを 2 つのプロセ スで捉えて、教育体系を整備しようとしていた。 「生産技術を体系的に習得できる JMA(日本能率協会) の公開講座に参加したときの資料をヒントに、自分なりに ものづくりを二大ビジネスプロセスに整理してみたので す。すなわち、企画から開発、設計、製造までのエンジニ アリング・プロセスと、受注から調達、製造、販売・サー ビスまでのサプライチェーン・プロセスです」 (織田氏) 。 このときの研修講師が JMAC シニア・コンサルタント の石田秀夫である。織田氏は「偶然の出会いだった」と語 るが、それをきっかけに石田と会って話す機会が何度かあ り、 「社内の技術講座の整理を JMAC に支援してもらいた い」と思うようになったという。 「以前は、プロセスの流れも、全体もよくわかっていな かったのです。また、時代の要請からもグローバルの視点 も付け加えたかった」 (織田氏)ということから、石田の 支援で今年から「グローバル生産技術」を加えた新しい講 座を開講する。 同社の講座はゼミナール形式で、希望者は上司の許可を 得れば受講できるようになっている。しかし、数が 440 講 座もあり、体系化されているとは言いがたかった。JMAC は同社のエンジニア、生産技術者へのアンケートや、各製 作所の幹部のインタビューをまとめ、問題点を明確して織 田氏と議論を重ねて体系化に着手したのである。 「受講者には、やはり二大プロセスの全体をわかっても
らいたいのです。縦割のせいでしょうか、個別の技術はも のすごく詳しいけど、前後のことはよくわかっていない人 も少なくない。ですから講座を整理することで、受講者が 「全体」を把握できて受けやすいものにしたかったのです。 数が膨大でしたから体系化・整理すべきところは、JMAC に手伝ってもらって、追加すべきこととしてグローバル生 産技術などの新しい講座もできました」と織田氏は語る。 石田は体系化のポイントとして、 「時代に合わせて、た とえば生産技術としての戦略性(知的財産ほか)やアーキ テクチャ論などを取り入れるべきです。また、ものづくり であれば、製品の 生まれ が大事なので、つくりやすい 設計、原価企画、VE(価値工学)などの強化が必要にな ります」と指摘する一方で、 「たしかに 440 講座という数 は多いですが、その数は人づくりに力を入れているバロ
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