ビジネスインサイツ58
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した」と当時の思いを語る。 JMAC からは、シニア・コンサルタントの毛利大が中 心となり、他のコンサルタント陣も現場に赴き、プロジェ クトがスタートした。 毛利は当時の同社の印象について、 「泉社長のお考えと 現場の意識にかなりのギャップがあると感じました。改革 推進のためには、現場の方たちになぜこのままではいけな いのか、改革が必要なのかを理解していただくところから 始める必要があると思いました」と振り返る。 ランドセルは、多くの職人の技術の結集で、あの温かみ のある風合いを生み出している。一方で、泉社長の目指す SCM(Supply Chain Management:サプライチェーン マネジメント)改革は、今までのセイバンのものづくりを 抜本的に再構築する取組みである。伝統技術と近代的な管 理の融合がプロジェクトのもうひとつのテーマであった。 課題を整理するため、まさにこの両面への取組みが重要と なった。 職人一人ひとりの作業のカン・コツを IE を用いて見え る化して、 働き方や仕事の負荷を把握したうえで、 何が「伝 承すべき技術」で何が「ムダ」なのかを洗い出す。一方で お客様からの注文情報を起点に、滞りなく製品を届けるた めに、どのように社内の情報連携を図っていく必要がある のかを徹底的に議論し、セイバンのものづくりのグランド デザインを描く。これを両輪として業務改善の手順を見え る化し、実践していった。 これについて毛利は「機械ではなく、多くの職人技が支
える職場においては、その一人ひとりに活動の意図を理解 してもらわなければ進まない、そのためには管理する側も 考えを押し付けるだけでなく、その技術を理解し、融合を 図る必要があります。 JMAC コンサルタントが現場に入っ てコミュニケーションをとりながら一緒に動いたことで、 現場の方々の理解が少しずつ進んでいったように思いま す」と語る。 泉氏は、そのときのことを「JMAC さんとは問題意識 が一致していましたし、ここまでできるというゴールを理 想形に近いところで出していただけたので、JMAC のア プローチはとても効果的でした」と振り返る。
現場の納得感が能動的な 活動を引き出す
最初はなかなか進まなかった活動だが、活動の趣旨への 理解が進むにつれ、ディスカッション後には工場のレイア ウトが変更されるなど、能動的な動きが見られるように なってきた。 毛利は「とくに、ベテランの方たちにはものづくりに対 する強い思いがありますので、活動するにあたってはどう してそれをしなければならないのか、という納得感を持っ ていただけるように心がけました。それを肌で感じていた だくために現場に入って一緒に動き、小さな成功体験を積 み重ねていきました」と活動の様子を振り返る。
セイバン流 生産管理プロセス再構築の考え方
© 2013 , JMA Consultants Inc.
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