ビジネスインサイツ59
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人と組織(チーム)の力を最大化することを目的に JMAC が 支援した企業事例をご紹介します。
グローバル拠点での良品生産を支える 「ワンランク上」への挑戦
〜「自分たち流」をつくり、次世代へつなげていく〜
急速なグローバル展開で 「ワンランク上」が課題に
総合自動車部品メーカーであるカルソニックカンセイ株 式会社は 1938 年、 「日本ラジエーター製造株式会社」と して設立された。その後 1988 年に「カルソニック株式会 社」へ社名変更し、2000 年には「株式会社カンセイ」と 合併して「カルソニックカンセイ株式会社」 (以下、カル ソニックカンセイ)を設立し現在に至る。 日本にグローバル本社を、欧米とアジアに統括機能を置 いてグローバルネットワークを築き、さらに日本、アメリ カ、メキシコ、イギリス、フランス、中国、タイ、インド に開発拠点を、そして世界に 60 を超える拠点を持つ。こ れら拠点では 2 万人を超える従業員が日々製品の最適供 給に取り組んでいる。 1976 年に米国法人を設立して以来、順調にグローバル 展開を続けてきた同社であったが、近年の顧客の海外進出 に伴い、海外拠点の拡大を急速に進めてきた。顧客は、い つもカルソニックカンセイとしての高い品質の製品を求め ている。現地生産・現地供給の場にあって、そのニーズに 応えるためには、良品をコンスタントにつくり続けなけれ ばならない。 これについて、熱交事業本部 熱交生産技術グループ部 長兼グローバル生産本部 生産技術センター センター付部
長 佐藤彰洋氏は「地産地消に対応できる良品をつくるた めには、高い技術力が必要なのはもちろんのこと、すべて の拠点でその技術が発揮できるよう標準化していくことが 大切です。グローバル化の進展に対応していくためには、 さらにワンランク上の仕事の進め方をしていかなければい けないという思いがありました」と語る。 そこで同社は 2012 年、 「ワンランク上」を目指し、そ れを実現するため、生産技術センターの改革活動を独自に 開始した。
なぜ成果につながらない? 立ちはだかる 2 つの 「内なる壁」
こうして始まった同社の改革活動であったが、 「なかな か思うように進まなかった」と佐藤氏は語る。そしてそこ には「内なる壁」のようなものがあったのだという。 その「内なる壁」は 2 つあり、まず 1 つ目は、 「 『ワン ランク上』を具体的にイメージするのが難しい」というも のだ。ワンランク上を目指せと言われても、すでに一生懸 命に仕事をしているので、自分たちがどこまでやらなけれ ばならないのかがわからず、結果として動けていないとい う状況があった。 2 つ目は、 「ベンチマークとのギャップに気づけない」 というものだ。これまで、他社は何をどうやっているのか
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