ビジネスインサイツ59
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カルソニックカンセイ株式会社
カルソニックカンセイ株式会社は、40 年にわたりグロー バル展開を続けてきたが、近年は顧客の海外進出に伴い、 海外拠点の拡大を急速に進めてきた。そのため、グロー バル化に対応した改革が急務となったが、そこには改革 そしてそれをどう乗り越えていったのか。その改革の軌 跡と今後の展望についてお聞きした。
を阻む「内なる壁」があった。 「内なる壁」とは何なのか、
熱交事業本部 熱交生産技術グループ部長
佐藤 彰洋
Akihiro Sato
を知る場や機会が少なかったため、それに比べて自分たち はどうなのかという視点をなかなか持てずにいた。結果、 目指すべきベンチマークと自分たちとのギャップに気づけ ず、改革意欲も芽生えないという状況があった。 佐藤氏は「それまでは『変わらなくてはダメだ、ワンラ ンク上を目指せ』とトップダウンで改革を進めていました が、内部の人間の言うことだけではなかなか伝わりませ んでした。それに、自分たちだけでは “ なるほど ” と思え るストーリーを描くことができなかったのです。そのた め、自分たちだけで改革をしていくのは難しいと感じてい ました」と語る。そこで、同社はこの状況を打破しようと 2013 年、JMAC をパートナーに選び、さらなる改革に乗 り出した。 JMAC を選んだ理由について佐藤氏は「JMAC には以 前から改善手法の講習会などでお世話になっていました が、活動がうまく進んでいないことを JMAC に相談した ことが支援依頼のきっかけになりました。そのときに、さ まざまな事例やカルソニックカンセイの立ち位置を紹介し てもらったのですが、やはりそういうことを教えてくれな がら先導してくれる存在は必要なのだと痛感し、経験豊富 な JMAC にお願いすることに決めました」と当時の思い を振り返る。 本活動を今も支援しているのは JMAC チーフ・コン サルタントの柏木茂吉とコンサルタントの後藤芳範だ。当 時の同社の印象について、柏木は「立派な仕組みはあるの
ですが、一人ひとりの皆さんがそれに縛られ、目の前のこ とをこなすことで精一杯だという印象を受けました。多忙 な中でも、仕組みを活用して今後の業務を変えていこうと 思えるような支援をしていきたいと思いました」と振り返 る。後藤は 「とくに若い人たちが苦しそうで、 一生懸命やっ ているのに報われない、という気持ちを抱えていると感じ ました。ですから、現場の若手エンジニアが少しでも楽に なるようにという気持ちで支援を始めました」と当初の思 いを語る。
「理想と現実」のギャップを知る まずはそこからだ
新たな活動を始めるにあたり、佐藤氏は JMAC に「目 指すべきベンチマークとのギャップを自分たち自身で気づ き、課題解決していけるような活動にしたい」と伝え、自 助努力するためのサポートを依頼した。 ギャップに気づくためには「現状を正しく認識する」こ とが必要だと考えていた佐藤氏は、まずそこからスタート した。そのために「振り返り分析」と「問題の吐き出し」 を行い、JMAC を交えたマネジャー層のミーティングを 週 1 回、約 40 回繰り返した。 「マネジャーミーティングでは、各チームの実践状況を 共有し、それを踏まえたうえで、自分たちは何をしなくて
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