ビジネスインサイツ59
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はいけないのか、そのためには部下とはどういう活動をし ていくべきなのかということを徹底的に話し合いました。 こうして試行錯誤を重ねながら『自分たち流』の感覚を育 てていきましたが、このようなときはとかく内向き思考に なったり、自分たちのやり方に拘泥したりしがちです。し かし、JMAC が他社情報やベンチマークを提供してくれ たり、こういうやり方はしないなどと指摘してくれたりし ましたので、ベンチマークとのギャップへの気づきをベー スとした『自分たち流』の改革感覚を育てることができま した」 (佐藤氏) 。 このときのことを柏木は「現実にしている仕事は目標達 成にあまりつながってないという認識を持ち、そこを何と か変えなくてはいけないというところに徐々に変わってき ているのを感じました」と振り返る。 なんじゃないか』と自分たちで工夫して仕事をするように なっていきました。 『吐き出し』で腹の中に溜まっている 不平不満を吐き出せたからこそ、自分たちが抱える本当の 問題に気づき、向き合うことができたのではないかと思っ ています」と語った。 さらに、このチームを率いるマネジャー自身も大きく成 長したという。当初は彼も「このままでいい」と言ってい た一人だったが、いざマネジャーミーティングが始まると 欠かさず参加し、 「変えていこう」というマインドを持っ て強力に引っ張っていくようになったのだ。 このマネジャーの変化について柏木は「これまでは、変 わらなければいけないとわかっていたものの、変わるキッ カケがなかったのではないでしょうか。しかし今回、日常 業務に連動させて改革を進める中で変われそうだなと感 じ、どんどん加速度的に変わっていった、そういうことだ と思います」と語る。 後藤は「日常業務の計画の立て方など、変化が目で見て わかるのが良かったですね。自分でも自信を持てますし、 マネジャーミーティングで他のマネジャーがいいよねと 活動が進み、各チームが変化していく中で、佐藤氏がと くに大きな変化を感じたチームがあったという。それは、 「 『問題の吐き出し』 のときに率直な話し合いができた」 チー ムであった。 佐藤氏は「私たちが一番エネルギーを使ったのが、最初 に行った『問題の吐き出し』でした。このときに『なぜ改 善活動なんかするのか。このままでいいじゃないか』と正 直な気持ちを言えたチームほど、その後の活動がうまく 進んでいきました。不満を出し切った後は、 『こうしたい』 という正直な意見がどんどん出てきて、 『私の役割はこれ
JMAC が支援するカルソニックカンセイの改革活動
1. 作業計画だけではなく、課題解決の計画を立てる • 計画立案時には、課題設定と課題解決ストーリーに注力する • スタートは現状の正しい認識 2. マネジャーによる改革の先導 •「課題ばらし※」の場を通じて、マネジャーが担当者を指導する • そのために、 「課題ばらしを適用する」ではなく、マネジャーが自部門の 改革イメージを強く持つ 3. 生産技術部門における課題解決 • 量産に対する多様な要請課題を同時解決する→目標ばらし • 個別車種対応と中長的にわたる量産品質の安定→原理・原則の追求
※課題ばらし=どのように推進すべきか明確になっていない業務に対して、課題の発掘と解決 ストーリーづくりを通して、実行可能な計画に展開するための手法
率直な「吐き出し」がメンバー のハートに火をつけた!
言ってくれることで、さらに自信がつくといういいサイク ルができていました」と語る。
見つけ、育て、任せる そして、さらに「ワンランク上」へ
現在進行形で活動している同社だが、佐藤氏は「それぞ れのチームに成長の差はあるものの、全体的な底上げは確 実にされてきていると感じます。また、皆の意識もようや く変わり始めたので、これからが正念 場です」とこれまでの成果と今後への 期待を語る。 そして、問題点は「元に戻りやすい」 ことであると指摘し、 「うまくいったと 思っても、少し気を緩めると簡単に元 の状態に戻ってしまいますし、頭や感 覚では理解していても、目の前にある ことを優先せざるを得ず元に戻ってし まうこともあります。体質を変えてい くことは本当に難しいと感じています」 と続けた。 そして、体質化していくために大切
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