ビジネスインサイツ59
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創立 : 1919 年 11 月 29 日 資本金 : 1,272 億 34 百万円(2015 年 3 月末日現在) グループ従業員数:197,056 名(2015 年 3 月末日現在) グループの主な事業内容 : 小口貨物輸送サービス、 企業間物流サー ビス、生活支援サービス、情報システ ム開発、金融サービス、車両整備、幹 線輸送、人材派遣
ヤマトホールディングス株式会社は 1919 年(大正 8 年) に創業し、2019 年に創業 100 周年を迎える。前身であ る旧ヤマト運輸株式会社の純粋持株会社制への移行に伴 い、2005 年、現社名に変更された。宅急便をはじめ、ロ ジスティクス事業やフィナンシャル事業などを行ってい る。代表取締役会長の木川眞氏は現在、 「路線事業」 「宅急 便」に次ぐ、ヤマトグループにとって第 3 のイノベーショ ンを手がけている。イノベーションの担い手ゆえのご苦労 と喜び、そして今後の展望についてお聞きした。
代表取締役会長
木川 眞
となく、自由にさまざまなことに挑戦し、当社の強みを存 分に発揮できると感じました。 しかし、規制がなく自由な分、同じ土俵で闘っている他 社との差別化を図っていかなければ勝ち残れないという厳 しさもあります。オンリーワン、ナンバーワンの存在でい るためには、10 年後 20 年後にターゲットとする市場で どのような変化が起きているのかを見通して、常に新しい ことに挑戦し続けていかなければなりません。 私が入社した 2005 年当時、宅急便はまだまだ伸び続け ていましたが、宅急便だけに軸足を置いたままではいずれ 成長力を失うのではないかという危機感がありました。そ こで、次の成長戦略では、宅急便を伸ばし続けながらも、 新たなフィールドにも活動領域を広げることで事業ポート フォリオ構造を変えていこうと考えました。そのために ホールディングス制を導入し、 さらに 「路線事業」 「宅急便」 に次ぐ第 3 のイノベーションの実現に向けて今もなお走 り続けています。
木川:われわれは、第 3 のイノベーションを通じて「ア ジア No.1 の流通 ・ 生活支援ソリューションプロバイダー」 となることを目標に掲げています。それに向けて打ち出し たのが、 ネットワーク構造改革を柱とした「バリュー ・ ネッ トワーキング」構想です。 この構想では、物流を単なる「コスト」から「価値を生 み出す手段」に進化させ、企業の物流改革を支援すること で日本経済の成長戦略に貢献することを目指しています。 これまで to C(個人宛て)に強みを発揮してきた当社の ネットワークを進化させ、さらにモノの流れの中で修理・ 洗浄・印刷などさまざまな価値を付加することで、ワール ドワイドに小口・多頻度でモノが動く B to(企業発の荷 物)の分野で価値あるサービスを提供します。また、to C 分野においても利便性をより向上させるために、e コマー ス(インターネット通販など)における関東・中部・関西 の三大都市間における当日配送を実現します。 これらの実現のため、ネットワークの革新を図ってきま した。グローバル輸送においては、 「宅急便のアジア展開」 と「沖縄国際物流ハブ」の活用によりアジアへの翌日配送 を実現し、羽田に日本とアジアを結節するヤマトグループ 最大級の総合物流ターミナル「羽田クロノゲート」を建設 しました。また、国内輸送においては、今後の労働力不足 も考え徹底的な省力化と、同時に国内主要都市間の当日 配送を実現する新たなネットワーク「ゲートウェイ構想」
ネットワーク革新で企業の 「物流改革」を目指す
鈴木:木川会長が描いている「第 3 のイノベーション」 では具体的にはどのようなことを実現するのでしょうか。
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