ビジネスインサイツ59
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をスタートさせ、その第 1 号となる「厚木ゲートウェイ」 を建設しました。 この革新的なネットワークとロジスティクス・IT・決済 といった当社グループの有する機能を生かして企業の「物 流改革」を支援していきたいと思っています。 当社はこれまで、ゴルフやスキーの手ぶら文化やクール 便、時間帯お届けサービスなどを次々とつくり出し、お客 様の利便性を飛躍的に高めてきました。この宅急便で培っ たエンドユーザー目線を生かし、企業のお客様のニーズに 応えることで、企業の「物流改革」を大きく進めることが できると考えています。
めに少し今までとは違うやり方を工夫しようじゃないか、 ということを現場に問いかけ続け、チャレンジしてもらい ました。2 年くらいトライアルし続けていくうちに、ベテ ランのセールスドライバーも「意外にいいじゃないか」と 納得して、さまざまな工夫が現場で生まれ始めました。 これと同時に、ソリューション営業を積極的に推進する ための意識改革も行っていきました。それまでは本社が商 品開発をして現場が遂行するトップダウン型でしたが、お 客様のニーズを拾うためには現場の声をもっと聞こうとい うことで、社長以下本社の役員が現場に赴き、そこで提案 を受け議論を行うボトムアップ型のグループエリア戦略 ミーティングを開始しました。これにより、お客様の生の 声をより適切に商品企画に反映できるようになったと考え ています。 また、企業の「物流改革」は宅急便という単機能で実現 できるものではなく、ヤマトグループ全体で支援していく ものですから、グループをあげてソリューション活動をし ていこうと呼びかけ、啓蒙を進めていきました。
サービス向上のカギは 社内改革にあり
鈴木:国内外ネットワークの構築と B to B の強化、ソ リューション活動を次々と実践されているヤマトグループ ですが、ネットワークの運用やお客様へのソリューション 活動は、現場の社員の皆様によるところが大きいと思いま す。現場の社員の皆様に経営陣の想いを伝え、共に動いて もらうために、どのような方法をおとりになったのでしょ うか。ご苦労されたことなどがあればお聞かせください。 木川 : 従来の物流においては、 「品質」 「スピード」 「コスト」 のうちどれかが秀でていれば評価されていました。しかし 現在は、これらすべてが揃わなければ、お客様の満足を得 ることはできません。そこで、品質とスピードを向上させ ながらも、低コストなサービスをご提供できるよう、ネッ トワーク構造改革とともに社内の業務改革と意識改革を行 いました。 宅急便サービスを提供するヤマト運輸では、生産性低下 につながるオーバーワークの見直しから始めました。たと えば、セールスドライバーの業務から集荷・配達以外の作 業を極力省力化・分業化し、長時間労働をなくす仕組みづ くりをしていきました。セールスドライバー自身が行って いた荷物の積み込みをパート社員に任せることで、早い人 で朝 7 時前に出社していたセールスドライバーは 8 時に 出社すればよくなりました。 ベテランのセールスドライバーからは、 「他人が積んだ のでは不安だ」 「やっぱり自分で積み込みたい」という戸 惑いの声が上がりましたが、お客様へのサービス向上のた
仕掛けと実行を分担・徹底 二人三脚で改革を断行する
鈴木:第 3 のイノベーションに向けて、ネットワーク構 造改革をし、同時に社内改革も進めてこられました。これ らを徹底してやられてきたことへの想いや今後の展望につ いてお聞かせください。 木川 : 一連の改革では、仕掛けと実行を徹底してきました。 ネットワーク構造改革の仕掛けは主に私が行い、現場へ出 向いての社内改革は私の前任者の瀬戸(現相談役)が担っ てくれましたので、まさに二人三脚で進めてきました。こ れらの改革は同時並行的に行いましたが、だからこそ大胆 かつ先進的なイノベーションが可能だったのです。 10 年間必死で走り続けてここまで来たわけですが、成 果はこれから刈り取っていくという段階です。ただし、き わめていい流れができており、事業のポートフォリオもね らいどおりに大きく変化しています。 何よりも、来年度には三河ゲートウェイが、再来年度に は大阪のゲートウェイが完成する見込みで、関東・中部・ 関西間の当日配達の実現が見えてきました。海外のネット ワークも順調に拡大しています。この姿を社内外に示すこ
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