ビジネスインサイツ59
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木川 眞
Makoto Kigawa
1949 年 1973 年 2004 年 2005 年 2006 年 2011 年 2015 年
広島県生まれ
一橋大学商学部卒業 富士銀行入行 ヤマト運輸入社 常務取締役
みずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)常務取締役 ヤマトホールディングス 代表取締役 常務執行役員
代表取締役社長 社長執行役員 代表取締役会長 現任
とができ、お客様には「ヤマトグループは大きく変わった な」 「一緒に組めば何か面白いことができるかもしれない な」と感じていただける流れができたと思います。社員は 自信を持ち、モチベーションは順調に上がっています。 また、日本企業が国際競争力をつけていくためには、も のづくりを担う一次産業二次産業の成長が欠かせません。 たとえば、農産品を新鮮なまま海外に届けることにはとて も価値がありますが、 そのインフラはすでにわれわれが 「国 際クール宅急便」としてつくり上げています。デフレの時 代に思い切った先行投資をしたおかげで、われわれの役割 をこのタイミングでアピールでき、順回転できているのだ と思っています。
1 年半前のクール宅急便の温度管理問題が典型です。問題 が発生したときに経営者が初動をどうするかで、その後が 決まります。 初動を間違えると泥沼に入っていきますから、 それをどうくい止めるか、社員の動揺をどうおさめるか、 これは経営者として磨いておかなければならない力です。 そして 4 つ目は「発信力」です。これが 4 つのうちで 一番大切です。社内外に発信するときは、どう伝え、どう 理解してもらうかという自分のスタイルを持たなくてはい けません。いくら挑戦する力があっても、そして危機対応 のスキルを磨いても、発信方法を間違えたら結局何もでき ません。先のネットワーク革新には、それまでの設備投資 費の 10 倍にあたる約 2,000 億円という巨額を投じました が、私はこれを積極的に発表しました。ヤマトグループが 大きな攻めに転じたということをメッセージとして社内外 に示すためです。また、メッセージはわかりやすいことが 大切です。私は常に、言いたいことを短いキャッチフレー ズにします。たとえば、昨年の発信は「シッカリ、イキイ キ、ワクワク」でした。これには、ヤマトグループがこれ からも成長し続けるためには「しっかりした経営理念を皆 で共有し、社員がイキイキと働き、ワクワクするような経 営戦略が実行されている」ことが大切だというメッセージ を込めています。 次世代のリーダーには、長い視点で先を見通し、絶え間 ない挑戦をしていってもらいたいですね。そして、この挑 戦を支えてくれるのは「人」ですから、ぜひ「人づくり」 を積極的に行い、全社員が一丸となって挑戦していく風土 をつくっていってほしいと思います。
経営者に必要なのは 「発信力」 どう伝え、理解してもらうか
鈴木:最後に、木川会長から次世代を担うトップ、経営幹 部の方へ向けたメッセージをお願いします。 木川:私は、経営者にとって大事なスキル・力は 4 つあ ると考えています。 1 つ目は「挑戦力」です。率先して事業変革をさせると いった、新しいものに挑戦する力が必要です。 2 つ目は「決断力」です。これは、決断することに対し て腹をくくっているかということです。たとえば、投資を いくらするかといったときに求められます。 3 つ目は「危機対応能力」です。当社の場合、たとえば
の DNA を引き継ぎ、ヤマトグループのサービスの原点を見つめ、新たな改革の牽引 者としてグループをまとめていくトップとしての強い想いと物流事業者としての熱い 心意気を、ご本人のインタビューを通して感じました。
木
川会長が一貫してお話になっていることは「健全なる危機感」を持ち、次の ステージへ挑戦していく、ヤマトグループの DNA ではないでしょうか。こ
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