ビジネスインサイツ60
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株式会社ニチレイ
冷凍食品や食品物流でお馴染みの株式会社ニチレイ。中核 の事業である物流部門を担うニチレイロジグループは 2005 を行った。現場には不安が広がったが、トップの強いリー 年、ニチレイの持株会社化に伴い誕生し、併せて地域分社化 ダーシップのもと現場の力を盛り返すための「働きがいのあ
る職場づくり」が始まった。活動を始めてから 10 年目を迎 現場の本音に向き合い続けてきた人事担当のお二人に、この 10 年の苦悩や喜び、そして今後の展望をお聞きした。
えた今、 ニチレイグループ全体へとこの活動が広がっている。
Yutaka Karino
狩野 豊
人事総務部長
軟な対応をしてくれたのが JMAC でした。やっぱりここ しかない、と確信しました」と語る。 こうして 2005 年、 ロジグループは JMAC をパートナー に改革に乗り出した。
の場合も同じだった。狩野氏は調査結果を見たとき「改革 には相当の覚悟がいるな、と改めて腹をくくりました」と 語る。 この調査結果の最初の印象について、ニチレイフーズの CS 支援に引き続きロジグループの支援を担当した JMAC シニア・コンサルタントの江渡康裕はこう語る。 「まず、想像していたより満足度は低く、根深く幅広い 不満があると感じました。こういった改革は、経営者の本 気度が現場にどれだけ伝わるかが大切なのですが、村井社 長がすべての自由記述欄に目を通されているとお聞きし、 きっとこの調査は改革に生かされ、本気度が伝わっていく だろうと思いました。そして、この調査結果を真摯に受け とめ、改革を実務レベルで担っていく狩野さんたちのお手 伝いを一生懸命しなくてはいけないと強く感じました」
現場の不満が浮き彫りに! ES 調査に何が書かれたか
CS・ES の両輪で改革を進めるため、まず顧客である食 品メーカーや商社を対象に CS 調査(顧客満足度調査)を 行い、その半年後に社員やパート・アルバイト、派遣社員 など全従業員を対象とした ES 調査(従業員満足度調査) を行った。 ES 調査では、現場からの不満が殺到した。調査票の自 由記述欄には「同じ仕事なのに、なぜ派遣社員のままなの か」 「なぜ給料がグループ他社より低いのか」 「分社化の意 図がわからない」 といった不満であふれ、 その数は膨大だっ た。それに加えて、 「この取組みにより、会社から “ 従業 員に満足を提供してもらえる ” のだ」と誤解している人も 多かった。 ロジグループは全国に 100 の事業所があり、従業員の 就業形態もパートや派遣社員などさまざまだ。中には 24 時間体制のため、常に人同士が「すれ違い」になる職場も 多い。 そのため、 メッセージが伝わりにくく 「従業員の満足」
フィードバックが難しい 現場の声にどう応えるか
こうして不満と誤解の中スタートした改革だったが、一 番難航したのが調査後の「フィードバック」だった。調査 結果を全社掲示板に掲示しても読んでもらえないのだ。調 査結果を職場単位で集計すると、少人数の職場では自分の 書いたことが周りにわかってしまうため、大きな単位で集 計せざるをえなかったが、そうすると自分の回答がどこに
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