ビジネスインサイツ60
- ページ: 12
- 12
あるのかわからなくな り、読まなくなる。 こうしたジレンマを 抱えたまま、数年間紆 余曲折した。 「ES 調 査 を す る と 言ったらオーッと皆期 狩野豊氏 待して、フィードバッ クしないと期待を裏切
貢献の実感、あいさつ」ができたときだとわかった。 そして、これらを職場コミュニケーションガイド 『STEP !』に集約して現場に配布し「働きがい」を支え るコミュニケーションとはどういうものなのかの浸透を 図った。そこには社員のメッセージや取組み事例も豊富に 載せた。 「みんなが考える働きがいはこれです、と発表で きたので、ある意味『STEP !』は活動の集大成と言えま す」と感慨深げに語る狩野氏。 こうして、ロジグループ流の働きがい調査は、取組みの スタンダードづくりへとつながっていった。
られたと感じる。そういうサイクルも江渡さんに教えても らいましたが、やはりフィードバックが一番難しかったで すね」と狩野氏。 そして、この状況を打破すべく「 『働きがいのある会社』 の理論面などを江渡さんに教えてもらいながら、そもそも 何をしたいのかという基本に戻り、経営者の責任やその中 での社員との関わりなどの整理も一緒にしてもらったので す」と別の角度から改革を捉え直したと狩野氏は語る。そ して、これを ES 調査の内容に反映し、それまで使ってい た JMAC 版 ES 調査を少しずつロジグループ版に進化さ せていった。
続けてよかった! 現場が明るく元気に
一つひとつの活動を地道に行い、まさに STEP してき たロジグループ。現場の反応はどう変わっていったのだろ うか。村山氏は「最初は現場のやらされ感が強かったので すが、調査とフィードバックを繰り返し行い、自分たちで 考えるように変えていくと、皆が徐々に前向きに取り組む ようになり、現場の雰囲気も明るくなりました」とその変 化をうれしそうに語る。 同時に、ここまで来るのに苦労もあった。最初の 5 年 間はとくに「継続の苦しみ」を味わったという狩野氏は 「フィードバックがうまくいっていなかったときは『どう せ回答してもムダなんだから、毎年同じこと聞くなよ』と いう現場の思いがヒシヒシと伝わってきて、調査は隔年に しようかと考えたりもしました。そういうときに江渡さん から、続けることの意義や新しい発想を教えてもらうなど して、ここまで続けることができました」と話す。 村山氏は江渡とよく議論を交わしたと言い 「江渡さんは、 良い悪いを正直に言ってくれるので、ときには議論するこ ともありました。しかしそれは、当社を思ってくれるから こそだと思うので、とても感謝しています。そして江渡さ んは、CS・ES 含めさまざまな企業を見ているので、われ われの発想が及ばない角度からこういうのがある、と提示 してくれるので、とても勉強になりました」と振り返る。 これについて江渡は「トップの思いも同じだと思うので すが、大事なのは結局現場なのです。この取組みは現場の 人たちがカギなので、そこをどう理解していくのかなど、 第三者的 ・ 客観的な意見も申しあげてきました。その中で、
「満足」は提供されるものじゃない 一緒につくり上げていくものだ
調査内容を進化させていく中で、2010 年、ついに「こ れだ!」というフィードバック方法にたどり着いた。思い 切って調査結果の集計単位を大きな会社別部門別から最小 単位のセンター別に変えたのだ。 その理由について江渡は「職場に焦点を当てて、10 人 単位なら 10 人単位で集計することにしたのです。その 10 人の職場の仲間と一緒に働きがいをつくるんだ、と方 向転換して、公開方法もオープンなものにしました」と語 る。併せて ES 調査の名称も 「従業員満足度調査」 から 「働 きがい調査」に転換した。ここには「従業員満足を提供さ れる側ではなく、みんなでつくる!」というメッセージを 込めた。 さらに、現場の人たちはどのようなときに「働きがい」 を実感するのか、事業所の所長をはじめ、役職・非役職 に関わらずさまざまな立場の 100 人にインタビューした。 その結果から 「働きがい」 を実感できるのは 「相互の尊重、
- ▲TOP