ビジネスインサイツ60
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経営基盤の強化に向けたさまざまな取組みについて、 JMAC が支援した事例をご紹介します。
〜高い目標値の達成を目指した品質マネジメントの体制づくり〜
「成果が出ている」 実感を 得られる改革活動が現場を変えた!
研究から生産まで一貫した体制で 新しい価値を創造し続ける
ポーラ化成工業株式会社(以下、ポーラ化成工業)は 1929 年の創業以来、化粧品・健康食品の研究から生産ま で一貫したものづくりを行っている。常に「お客さまの期 待の一歩先」の製品を生み出すために、基盤研究、開発研 究、品質評価研究、包装材料研究、実用化、生産工程を保 有し、グループ内の各ブランド企業で行われているマーケ ティング・商品企画・販売と連携したバリューチェーンの 仕組みがあることが同社の最大の強みだ。 研究部門では、エイジングケア・ホワイトニングケア領 域に注力しており、その研究開発力は国際化粧品技術者会 連盟(IFSCC)での最優秀賞受賞に見られるように世界で も高く評価されている。 生産部門では、お客さまによい商品をお届けしようと 品質、安全・安心を従業員全員が心掛けており、総合化 粧品工場として、3,000 種を超える商品を年間 8,000 万 個以上も生産、安定した供給を続けている。徹底した品質 管理に努め、1998 年には品質マネジメントの国際規格・ ISO9001 の認証を取得、さらに化粧品 GMP を遵守した生 産体制を整えている。また、2000 年には環境マネジメン トシステムの国際規格・ISO14001 の認証を取得している。 ポーラ化成工業は、確かな技術力に裏づけされる「新し い価値」を届けるために、品質保証についても絶えず「ワ ンランク上」を目指している。
現場を歩き回って感じた 検品に頼らない品質保証体制
ポーラ化成工業に課された、品質に関わるもっともハー ドルの高い目標は「トリプルゼロ」 。お客さまにご迷惑を かけるリコールのゼロ、お客さまに届く前の販売網からの 引上げゼロ、そして「工場からトラックが外に出たらそこ は市場」という観点に立った出荷後流通網からの引上げゼ ロ――この3つのゼロの達成・維持を目標に生産活動を 行っている。とくに 3 番目のゼロは、工場にとってはもっ とも厳しいハードルだ。 こうした中、西方和博氏(現 営業・購買担当取締役) は 2011 年の 1 月から生産担当役員として、生産を管掌 することになった。もともと開発畑の人間で生産は初めて だったため、最初の 2、3 ヵ月はとにかく現場を歩いて生 産の実態を自分の目で見て確かめることに努めた。 「ものづくりの会社なので、まず『品質』です。それで、 とにかく現場に足を運びました。実際に行ってみると、ト リプルゼロを支える土台としては、かなり不安を感じまし たね」 (西方氏) 工場では、外にクレームになるものを出してはいけない という意識が先走り、つくって箱に入れた後に箱を開けて さらに検品をして出荷するという多重検査体制が常態化し
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