ビジネスインサイツ60
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尾上 広和
Hirokazu Onoe
1948 年 1970 年 2000 年 2004 年 2010 年 2011 年
姫路市生まれ グローリー入社 自販機・遊技システム事業部長 常務取締役 取締役執行役員副社長 代表取締役社長(現任)
人化を実現しました。 さらに今、力を入れているのは、紙幣の画像処理やそこ から派生した生体認証、顔認証技術です。この顔認証は、 マンションに住む高齢者の見守りサービスにも活用できる など、まさに安心・確実のセキュリティーの領域に入りま す。そしてわれわれは、このセキュリティー領域からまた 何か新しい芽が出るのではないか、社会に役立つ新しいも のをつくり出せるのではないか、そういった発想で挑戦を 続けています。
かかる場合もありますから、長い目で見て辛抱強く継続し ていくことが大切です。 これはビジネスの場面だけでなく、 人材育成でも同じです。 企業を支えていくのは人ですから、 人をどう育てていくかが企業にとって一番大事です。 日本の場合、減点主義になりがちですが、加点主義でモ チベーションをうまく上げることが大切です。失敗や間違 いは誰にでもあります。一度失敗すればそれが教訓になっ て、次は失敗しないように努力しますから、失敗のない人 間より失敗をする人間のほうがむしろ育っていくのです。 ビジネスも人材育成も、継続してこそ 1 つの大きな力に なっていくのではないかと思っています。 最後に、チャンスを生かす「決断」ができること。チャ ンスが巡ってきたときにどう決断するか、長年の経験に裏 付けされた勘が非常に重要です。客観的な数値はもちろん のこと、最後は勘で勝負する、そういった実力を身につけ るのです。当社で言えば、タラリスの買収で約 800 億円 という巨額を投じるべきか逡巡しましたが、円高の追い風 を生かせるこのチャンスは二度とないだろうと買収に踏み 切りました。その後、芽は順調に育ち、あと数年で成果を 収穫できるところまできています。この決断は正解だった といえるでしょう。またとないチャンスに巡りあったとき にどう判断するかが、次の展開を決め、会社の未来をも変 えていくのです。 いろんなところに、いろんなチャンスがあります。それ を察知するアンテナを常に張り巡らし、タイミングを逃さ ずチャンスをものにする。次世代のリーダーには、その経 験値・決断力をぜひ身につけてほしいと思います。
チャンスを生かす「決断力」が 会社の未来を切り拓く
鈴木:最後に、尾上社長から次世代を担うトップ、経営幹 部の方へ向けたメッセージをお願いします。 尾上:私は経営者にとって大切なのは「企業風土をつくる こと」 「継続力」 「決断力」の 3 つだと考えています。 まず、会社の根幹となる「企業風土」をしっかりとつく ることが大切です。当社は「絶えず新しいものを開発製造 すること」を企業風土としています。そうした確固たるも のが 1 つでもあれば、強い企業体質が維持できると考え ています。 そして、 何ごとにも「継続」していく忍耐力を持つこと。 たとえすぐに芽が出なかったとしても、諦めればそこで終 わりです。短期で成果が出るものもあれば、5 年 10 年と
および自社の課題を抽出しています。このフットワークがグローリーの DNA と結び つき新たな製品1事業を生み出していると感じました。また、チャンスを生かす決断 力もまさにこの現場感覚からくるものであると確信しました。
グ
ローリーの DNA は新しいものを絶え間なくつくり出すチャレンジ精神にあ ると思います。尾上社長は自ら現場に足を運び、現場の実態を把握し、顧客
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