ビジネスインサイツ61
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経営基盤の強化に向けたさまざまな取組みについて、 JMAC が支援した事例をご紹介します。
〜頭と体をフルに使う「カートファクトリー」で失敗しながら学ぶ〜
ヨコハマから世界へ 「ものづくりの DNA」 を伝承する
「ものづくりの DNA」を 次世代につなげ!
アネスト岩田は、1926 年(大正 15 年)に中古旋盤 2 台を据え付けただけの小さな町工場として創業した。 以来、 国産初のスプレーガンや世界初のオイルフリースクロール コンプレッサなど、国内初、世界初となる製品を数多く開 発し、今では海外売上比率が 5 割というグローバル企業 となった。革新的技術で最高の品質・技術・サービスを提 供し続けてきたこの「ものづくり力」は、DNA として今 もなお脈々と引き継がれている。とくにコア技術・コア部 品に関しては自社で生産技術を構築し、スプレーガンのノ ズルなどは外注せずに内製化し、 独自の技術を磨いている。 さらに生産管理の仕組みを構築し「当日受注・当日出荷」 体制をつくるなど、福島工場と秋田工場をマザー工場とし た、ものづくりへのこだわりは尽きない。一方、新システ ムの開発にチャレンジする精神も旺盛で、組立の自動化な どにも積極的に取り組んでいる。 「メーカーゆえのものづくりに関する職人気質は非常に 強い」と話すのは自身も技術者出身であるという壷田貴弘 氏(代表取締役 社長執行役員)だ。壷田氏はかつて塗装 設備の技術者で、 「先輩技術者の、 その “ 職人気質 ” によっ て育てられた」という。 「設計図を描くときには、 『軸の一 つひとつまで、加工するときのことをよく考えろ』といっ た、大切なことをすべて教わってきました」と当時を振り 返り、 「メーカーにとって重要な生産部門の中で、先輩が 教えながら技術者を育ててきたこと、技術と製品を大事に 育ててきたこと、それこそがアネスト岩田の『ものづくり の DNA』だと思うのです」と話す。 しかし今、 「その DNA をいかに伝承していくかに苦労 している」とも話す壷田氏。 「これまではある意味、職人 気質に頼っていたところがあり、職人気質の技術者たちが マニュアルにはない、ノウハウや哲学をいかに伝えていく かが課題」であり、また、グローバル化を進展させる中で 「メンタリティの違う海外法人のメンバーに DNA をいか に伝え、理解してもらうかも課題」であるとし、国内外双 方に “ アネスト岩田のものづくりの DNA” をいかに伝承 していくかが今、大きな課題となっていると語る。
「ものづくり教育」の 復活にかける熱い想い
同社はもともと、2 年ほど前から「グローバル人材マネ ジメントの構築」プロジェクトを JMAC 支援のもと推進 中だったが、その中で人材育成については、やはり次のス テージに進まなければいけないと感じていたという。 昔は IE(= Industrial Engineering)や VE(= Value Engineering)について、社内でお互いの顔と顔を突き合 わせて、侃々諤々と議論する機会がたくさんあったが、そ ういった場面が次第に少なくなってきたと話すのは、岩田
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