ビジネスインサイツ61
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アネスト岩田株式会社
創業 90 年の歴史を持つアネスト岩田に脈々と受け継がれてきた「も のづくりの DNA」は、技術者が後輩にたたき込んだ職人気質により形 づくられてきた。それが薄れかけていることに危機感を抱いた同社は、 JMAC の改善体感トレーニングセンター「カートファクトリー」と出 会ったことをきっかけに、ものづくりの教育を復活させるべく立ち上 がった。今回、 「アネスト岩田のものづくりの DNA」とは何か、 そして、 その伝承をかけた活動の軌跡と今後の展望をお聞きした。 代表取締役 社長執行役員
壷田 貴弘 Takahiro Tsubota
詳細を聞いた同社は、 「これは日本だけではなく、海外 を含めたアネスト岩田のグループ会社全体にまで使えるだ ろう」ということで、 「横浜の日本本社がアネスト岩田の グローバルラーニングセンターとなる」ことを念頭に、ま ずは 2015 年 2 月から本社敷地内に設置することにした。 この話を聞いたとき、 「最初はカートファクトリーのイ メージがまったくつかめなかった」と話すのは、桑田透氏 (液圧機器開発グループ マネージャー)と佐藤徹氏(圧縮 機事業部 圧縮機開発・技術部グローバル開発グループ マネージャー)だ。しかし慶應義塾大学の矢上キャンパス に見学に行ってみると、 すぐにイメージがつかめたという。 桑田氏は「 『仕事上の失敗はなかなか許されないが、こ こではわれわれも失敗してもいいのだ』という感覚を持ち ました」と語り、佐藤氏は「実際に見てみると、やろうと していることがとてもよく理解できた。いろいろな要素が 入っている総合的な教育なのだと感じました」 と振り返る。
仁氏(管理部人事グループ マネージャー)だ。 「私が入社した 15 年前は IE や VE の教育も盛んで、泊 り込んでじっくり議論していましたが、事業や拠点が拡大 する中で、そういった、ものづくりについて語り合う機会 がどんどん減ってきていました。今は各職場での職制によ る OJT 教育が主流となっていますが、教える側がプレイ ングマネージャー的になってきているため、そこまで手が 回らないのが現状です。 このような中で、 『メーカーとして、 ぜひものづくりの教育を復活させたい』と思い、JMAC の “ カートファクトリー ” の導入を決めました」 (岩田氏)
失敗しながら学べる! “ カートファクトリー ” って何だ?
カートファクトリー(Kart Factory)は、頭と体を使 う体感トレーニングセンターだ。実際の生産現場を再現し た空間で、ペダルカートをつくりながら、ものづくりにつ いて総合的に学ぶ。チームで生産性向上にトライし何をど うすれば改善できるのかを体験するプログラムで、JMAC ではそれを “ リアル・シミュレーション ” と呼んでいる。 カートファクトリーは JMAC 海外法人で 2006 年に開 発され、多くの海外メーカーで導入されている。これを日 本版にアレンジし、2014 年 4 月に逆輸入した。同年共同 研究として、慶應義塾大学理工学部ではカートファクト リーを使った IE 実験の授業もスタートしている。
左から岩田仁氏、佐藤徹氏、桑田透氏
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