ビジネスインサイツ61
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できますし、目標時間内での生産台数を競うタイム競争も
簡単なようで難しい! トライ&エラーで意識改革
こうして導入したカートファクトリーだったが、実際に 研修に参加したときには「思いどおりにいかないことが多 かった」という佐藤氏。 「1 日目はまずチンプンカンプン。 『何をやれば?』 『どうやればよいのか?』 と混沌とする。 『こ うしなさい、ということがほとんどない』というところが カギなのだと、後からわかった」という。カートファクト リーの特徴は、まさに教える側が先回りしてのガイドはし ないところにある。自由度が高く、自分たちで考え、自分 たちで解決していくためのトレーニングツールなのだ。 また、佐藤氏は「チームでどういうディスカッションを 重ねていけば目標にたどり着くのかを、ここで何度も経験 する」そして、 「自分たちがどうしても抜けきれない枠を 超えて発想が転じたところが面白かった。設計とか購買と か部門の枠に留まっていたら多分ああいう発想には至らな かっただろう」と話す。さらに佐藤氏は、 「 『生産ラインっ てどういうもの?』という初歩的なところから、VA/VE などの生産改善の手法についても学ぶことができるほか、 たとえば、ねじの長さ一つの設計が組立後工程にいかに影 響してくるかなど体験を通しての気づきの要素も多く含ま れていますよね」と続ける。ここでは、自分で考えたアイ デアをすぐに試すことができ、結果もすぐにフィードバッ クされるので、自分のアイデアがどんな影響を及ぼしたの かが体感でき、 ものづくりに必要な気づきを得られるのだ。 もうひとつの特徴が「楽しみながら」できるところにあ ると桑田氏は言う。 「実際にカートをいじりながら議論が
楽しかったですね。私は、治具づくりなど、機材準備から サポートしてきたので、 それ自体も楽しめました」と話す。 実際にカートにも乗ってみたという社長の壷田氏は「こ の研修は簡単なようで、 すごく難しいですよね。 カートファ クトリーは、いろんなやり方や課題を原点から捉え直し、 これまでと違う角度や視点で見ることが求められます。さ まざまな要素が入っているからこそ、総合的な教育の場と して、メーカーにとって非常に有効だと思います。楽しみ ながらできるところもいいですし、自分たちの力不足を思 い知らされて針路をとることもできるので、われわれの意 識改革に大きく役立つと思います」と評価する。
次は現場での実践にトライ! 「DNA の伝承」を加速せよ
昨年春から機材の準備が始まり、コアメンバーによる慶 應義塾大学でのカートファクトリー体験コースの受講を経 て、ベーシック・コースの社内実施がスタートした。現在 は社内講師の育成へ着手、そしてデザイン・コースの実施 準備が進んでいる。2016 年度の計画では次のステップと して、①受講者階層の拡大、②現場実践への橋渡し、③グ ローバル展開への足がかりづくり――と展開する予定だ。 岩田氏は「カートファクトリーで実感したこと、新たに 気づいたことを、徐々に現場で試してほしいと思っていま す。福島と秋田工場の受講者数が増えて、現場実践が進ん できたら、次は海外メンバーと接する経験をしてもらう ため、2016 年度中に数名の海外研修生を受け入れたいと
JMAC のオリジナル体感プログラム「Kart Factory」とは
「Kart Factory」は、ものづくりのさまざまな要素を体 感できる JMAC 独自のプログラムだ。ベーシック・コー スでは改善の基本はもちろん、経営的な観点からも、もの づくりの全体像を学ぶことができる。デザイン・コースで は、マーケットニーズを設計に落とし込んで差別化につな げる経験もできる。JMAC 海外法人では、道場 Dōjō と名 づけ、ラーニングス タイル別に 5 つの カテゴリーで「Kart Factory」を展開し ている。今後日本で は、各社の要望を聞 きながら順次導入し ▲重量は 33kg、全長は 1.3m ていく予定だ。
◀ラインをどこま で効率化できるか トライ&エラー。失 敗から学ぶがモッ トーだ
▶仲間との白熱した議論 でチームワークとリー ダーシップを醸成
詳細はこちらでも⇒ http://www.jmac.co.jp/movie/
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