ビジネスインサイツ61
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設立:1933 年 12 月( 「たなべや薬」の創業は 1678 年) 合併期日:2007 年 10 月 1 日 資本金:500 億円 従業員数:4,819 名(2015 年 9 月 30 日現在) 主な事業内容:医薬品事業(医療用医薬品を中心とする医薬品 の製造・販売)
田辺三菱製薬株式会社は 2007 年 10 月、 田辺製薬と三菱ウェ ルファーマの合併により誕生したが、その創業は 338 年前に さかのぼり、日本最古の製薬企業である。同社の「レミケード」 は難病といわれる疾病を中心にクローン病や関節リウマチなど の効能を取得し、日本における生物学的製剤の未来を切り拓い たといわれている。2009 年 6 月、代表取締役社長に就任した 土屋裕弘氏は「夢のある新薬を創製し、夢のある企業を実現し よう」と呼びかけ続けた。今回、土屋氏に当時の想いや経営者 にとって必要な視点、そして今後の展望についてお聞きした。
土屋 裕弘
関係者に薬の適正使用情報として提供しています。 同時に、 医療関係者から医療現場のニーズを的確に把握することを 通じて、適応症の追加、用法用量の変更などを行っていま す。こうして薬の価値を高めていくことを「育薬」と呼び ますが、その一例が当社の生物学的製剤「レミケード」で す。最初の適応症はクローン病でした。育薬の結果、関節 リウマチなどの効能を取得し、その後も随時適応を拡大し ながら発売以来 10 年以上にわたり多くの患者さんの治療 に貢献しています。 研究員のマネジメントでは、所員が自由闊達な雰囲気の 中で研究ができるように心がけました。研究員は当時約 400 名在籍していましたが、一律に管理監督することはせ ず、研究テーマを決めるまでは自由に議論をして、ある程 度テーマが決まってきたらみんなで一緒にやろう、と言っ ていました。ただ、製薬企業の研究開発の結果は上市でき るかできないか、0 か 100 の世界で、不安やストレスを 抱える担当者も多いのではないかと感じていました。その 際、相談できる相手がいることがとても大切なため、私は 常に「ひとりで悩むな、 ひとりで闘うな、 相談相手を持て」 と言っていました。このときに始めたのが、新入社員の 3 〜 4 年先輩を相談相手とする制度です。今で言うメンター ですね。現在もこの制度は続いていますが、当時から新入 社員には「いずれは自分が良き相談相手になりなさい」と 言ってきました。 土屋 : 私は社長になってから常に「夢のある新薬を創製し、 夢のある企業を実現しよう」と言い続けてきました。当社 は、1988 年に創設された日本薬学会創薬科学賞において 自社創製した狭心症・高血圧症治療剤ヘルベッサーが第 1 回の受賞をして以来、脳梗塞治療剤ラジカット、多発性硬 化症治療剤イムセラ、2 型糖尿病治療剤カナグルと、計 4 回受賞するなど、患者さんが待ち望む画期的な新薬を創製 し続けております。新薬には患者さんだけでなくご家族、 医療関係者、研究者など、すべての人の夢が全部詰まって います。そのような新薬を創製して「夢を実現しよう」と 研究開発は、陸上競技のリレーのバトンタッチのような もので、過去の膨大な研究結果が現在に活かされ、現在の 研究が将来の科学に貢献していきます。人の育成も同じで す。創薬や育薬のように、人の育成もまた継続的に行って いくことが大切なのです。
代表取締役会長
3 つのアクションで 「夢のある企業を実現しよう」
鈴木:2007 年に田辺製薬と三菱ウェルファーマが合併し た後、 2009 年に社長になられました。そのときの想いや、 その想いを実現するためのマネジメントの秘訣などをお聞 かせください。
Michihiro Tsuchiya
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