ビジネスインサイツ61
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プレイングを行いましたし、本人から営業部門への仮想提 案を行ったこともありました」と評価している。
研修中にアポイントが取れず、研修の半年後にやっと実際 に提案することができたが、 「今思えば、研修後に提案に 行けてよかった」と振り返る。 「自分はお客様の声を聞き ながら苦労して開発してきたという自負があったので、今 のままでも十分だろう、という気持ちも半分ありました。 しかし、実際にお客様を訪問したときには、研修で学んだ ことがとても役立ちました。たとえば、 『具体的に提案す ると具体的な反応が返ってくる』ということです。たとえ 的外れな提案であったとしても、それが具体的なものなら ば、お客様は『違う、そこじゃなくてここに困っているん だよ』と具体的に返してくれるので、今ではお客様の本当 のニーズを知るために、積極的に何でも聞いてみようとい う気になりましたね」と笑顔を見せる。 そして、おもむろに自ら作成した二種類の仮想カタログ を広げて「実は、研修でつくった仮想カタログと、半年後 にもう一度考えてつくった実際の提案用カタログの構成や 訴求ポイントがほぼ同じだったのです。行き着くところは ここだったんだなと。研修期間中に仮想カタログづくりに 本気で取り組んで、研修のチームメンバーと何度もバー ジョンアップを繰り返して完成度の高いものができていた んだなぁ、と改めて感じました」と、実践型研修の効果に ついて実感を込めて語る。
「顧客目線」が 技術者を変えた!
グループディスカッションは研修が進むにつれ活発に なっていったが、当初はぎこちなさもあったという。田中 氏は「それまでは、他の技術者の開発品については、たと え同じ部門の人でも、どこか遠慮があり、率直に意見を言 いにくい雰囲気がありました。しかし、研修は顧客への提 案仮説をみんなで練り上げるためのディスカッションとい う雰囲気の場であったので、お互いに遠慮なく意見交換で きるようになっていきました」と、気兼ねなく議論できる 場をつくることの重要性を指摘し「その後も、研修を受け た人たちは積極的に意見を言うようになりましたし、同じ チームだった仲間とは今でも、自分たちで日常の議論の場 を盛り上げていこうと話をしています」と、リーダーシッ プの大切さも感じるようになったと話す。 田中氏は現在、研修前に完成していた次世代向けのバー ジョンアップ製品を顧客に提案し、サンプル評価の段階に 進んでいる。最重要ターゲット顧客に対しては、あいにく
▶▶▶ 活動で得た「顧客目線」を開発業務に役立てる! ◀◀◀
活動に参画したメンバーの方々から当時の感想や今後の抱負などをお聞した。 ▶澁谷義孝氏(技術開発センター・電材加工グループ 主任開発員) ニーズに応える先行提案をするためには、会話の中で「お客様が今、何を必要としているのか」を把握できる力が 必要だと実感しました。周りの人と議論して協力する姿勢が身に付き、目標だった「社内全体に加えて顧客も巻き込 む開発」を実現できたことも大きな収穫でした。 ▶今村裕典氏(同 主任開発員) 顧客目線・相手目線の大切さや、ディスカッションで視野や仕事の幅が広がることに気づいてからは、業務の進め 方が大きく変わりました。 「仮想カタログ的発想」で相手のメリットをわかりやすく説明できるようになり、他部署の 人とも連携をしやすくなったと感じています。 ▶吉澤彰氏(同 技師) 顧客目線の大切さを学んでからは、お客様の要望にどう応えるべき かを考えるようになりました。お客様のニーズにマッチする製品を提 供するため、高品質化とコストのバランスを図りながら、技術力を駆 使して最高品質のものを開発できるよう努力を続けています。 ▶中願寺美里氏(同 技師) 仮想カタログの作成を通して、顧客目線で考えることの難しさを改 めて感じました。研修中に習慣化した YWT (やったこと、 わかったこと、 次にやること)をこれからも日々積み重ね、お客様の求めているもの は何かをよく考えて、開発につなげていきたいと思います。
後列左から今村氏、澁谷氏、吉澤氏 前列左から田中氏、中願寺氏
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