ビジネスインサイツ61
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結城氏は「研修後、田中君は現行品に満足している顧客 に対しても『こうするともっといいことがある』と先行提 案をして、実際に成果を出し始めています。このように、 田中君に限らず参加した技術者一人ひとりが一つひとつ実 績を積んでいくことができればといいなと思います」と、 その成長ぶりをうれしそうに語った。
や JMAC に任せきりにせず、一緒に活動するという意識 を持ち続けたことも、成功の要因だったと付け加えた。
技術者の育成に 会社の夢と未来をのせて
今後の抱負について、田中氏は「あれからお客様に提案 する機会が増えてコネクション(人脈)が広がり、信頼関 係も構築されてきました。これからも、研修で得たスキル を発揮してお客様の困りごとを聞き、その声を開発につな げていきたいと思います」と、意欲的に語る。 結城氏は「今後、 中長期の研究を実施するためには、 テー マ設定力や企画力といった個人の能力に関する全体的な底 上げと、 将来の組織運営を担うキーパーソンの選抜と育成、 この両方を考えていかなければなりません。また、新任管 理職の育成も差し迫った重要課題です。一般的な管理スキ ルのほかに研究・開発特有のマネジメント教育を新たに行 う必要があります。今後もひとりよがりにならないため、 そして広い視野を持つためにも、有効なプログラムを積極 的に利用していきたいと考えているので、JMAC の幅広 い支援を期待しています。会社としても新体制のもとで技 術者の育成をさらに強化していこうと動き出しています。 これからがまさに正念場です」と今後の課題と抱負を熱く 語った。 「顧客目線」を持つことで大きな変革への第一歩を踏み出 した JX 金属の技術者たち。 「山師的な発想」を取り戻しつ つある今、画期的な製品を世に出し続けていくに違いない。
活動成功のカギは「決意」 「動機づけ」 「エンカレッジ」
こうして、開発現場の最前線にいる技術者たちは変革の 一歩を踏み出した。結城氏は研修を通じた実践活動の成果 について「彼らが顧客目線や外向き指向の不足を実感でき たこと、クリエイティブな議論をする風土やそのためのコ ミュニケーション能力を持つことが大切で、それが自分た ちの重要な課題だと認識できたことは大きな成果でした。 また、グループディスカッションでリーダーシップが育ま れたことや、ヒアリングやプレゼンのスキルが向上したこ とも忘れてはならない成果です」と語る。 結城氏は、 このような活動を組織的に推進するためには、 マネジメント層の「決意」 「動機づけ」 「エンカレッジ(行 動変容を促す) 」が大切であると説明する。 「まず、上に立 つ人間が『この活動をする』と決意すること、そして実際 に活動を始めたら、初めにきちんと動機づけをすることが 重要です。 われわれの場合は、 研修の始めにさまざまなメッ セージを介してこの活動の大切さを伝えました。 また日々、 中だるみしないようにエンカレッジも重要でした」と語 り、最後に本社のポジティブなバックアップがあったこと 担 当 コ ンサルタントからの一言
「 突 き 抜 け た!」 と思えるところ までしぶとく議 論を重ねること 庄司 実穂
シニア・コンサルタント
自分たちらしく、外向きな R&D 組織をつくろう
仮想カタログは、企画構想段階のツールとして広く活用されていますが、カ タログづくりそのものだけではなく、 「顧客にダイレクトに仮説を提案する」 「そ 行動変容につなげる意味が大きいです。新商品企画のみならず、技術開発目 与するもの」 「研究組織らしいクリエイティブなマネジメントツール」として の能力開発・風土改革の追求につながると思います。
こから得られた情報に対して組織の知を結集させる」といった技術者集団の 標の先鋭化、次のネタ発掘など、 「より上流段階から R&D の生産性向上に寄 位置づけてほしいですね。自社らしい価値発掘プロセスづくりや、R&D 組織
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