ビジネスインサイツ62
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アステラス製薬株式会社
近年、創薬のトレンドは低分子医薬品からバイオ医薬品へと えている。こうした経営環境の中、CMC 部門はグローバルで 大きく移行し、医薬品産業はかつてないパラダイムシフトを迎 の要員や設備投資など、中長期にわたる開発・生産戦略を立 案し実行していく必要がある。アステラス製薬の医薬品の開 発から生産を担う部門である技術本部では、ものづくりと経
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営のエッセンスをあわせ持つ技術経営の感性を持った高度な などを技術本部長、人材開発担当者、受講生にお聞きした。
人財の育成を目的に MOT 実践研修を導入。その意義、効果
上席執行役員 技術本部長
松田 充功
Mitsunori Matsuda
氏
にかく専門家になれ、と言われてきました。それぞれの 専門家が会社に揃っていれば、仕組みにのせて新薬は出 せるという発想だったのでしょう。それが何 10 年も続い た結果、技術本部は専門家集団となりました。よく考えれ ば、専門性ばかりを要求され続けてきているような風土の 中で、戦略企画や経営を考えることができる人が自然に出 てくる訳がありません。これからの技術者には経営の視点 を持ってほしいと感じたことから、MOT(Management of Technology)実践研修の実施を決めました」と話す。 こうしてアステラス技術本部は研修をスタートさせた。
年度には第 3 期がスタートした。 これまでに MOT 実践研修の実施を担ってきた戸田篤志 氏(技術本部 技術企画部 人事統括グループ課長代理)は、 人材開発において大切なのは「視野を広げることのできる 機会をどれだけ提供できるか」 であるという。 そして 「MOT 実践研修の目的は、他の研究所や部門外の人と話すことで 外へと視野を広げることにより、自分や自部署、自社を客 観的に見ることができるようになることです。今、どうい う経営判断をしていくべきなのかを技術を軸足に感じてほ しいと思います」と語る。 松田氏は「ビジネスを成功させるためには、ビジネスと 現場感覚の両方がわかる人が中心になっている会社が望ま しいと考えています。MOT 実践研修では、技術本部の中 でビジネスがわかる人たちを育成し、現場感覚に根差した 経営を担っていけるような人財を輩出したい」と、技術本 部メンバーの活躍に期待を寄せる。
戸田 篤志 氏 (技術本部 技術企画部 人事統括グループ課長 代理)
MOT 実践研修で 技術者に経営の視点を
MOT 実践研修は、技術を核にした事業化実践研修だ。 自らが技術・事業化展開を推進する牽引役(ゼロから立ち 上げる人)になることを目指し、実践テーマ・演習を通じ て技術者でありながらもビジネスの「目利き力」と事業企 画力、プロジェクト実践力をつけ、商品化、事業化の方法 を体得する。 技術本部ではスタッフ部門のみならず研究職、 分析・生産技術職も含め、今よりも高い視野・視座を持っ て業務に取り組み、これからの事業化展開までを見据えら れる人財の候補者 20 名程度を選抜し、 年間通して約 12 日、 合宿研修も交えながら行っている。この取組みは継続的に 行われており、2014 年度には第 2 期が実施され、2016
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