ビジネスインサイツ62
- ページ: 16
- 16
①ものの状態を検知する ②検知した情報を伝達、通知する ③検知した情報と関連する情報を照会する ④検知した情報を蓄積する ⑤蓄積された情報を分析する といったものである。この機能を組み合わせることで、 どのような現場改善を実施できるかが決まる。 たとえば、事例の設備点検は①③、フォークリフトは ①②④⑤を組み合わせた仕組みとなっている。
IoT を真に有効な現場改善ツールにするには
現場改善の基本は「現状の姿を見える化することで、 問題を明確にし、 適切な改善、 対策を行うこと」である。 とくに「現状の姿を見える化」できるかどうかが大きな ポイントとなる。 IoT を活用すれば、 「現状の姿」は、より高速に、よ り広範囲に数値データとして「見える化」できる。状態 が情報化すれば、情報を好きな ように加工することも高速でで きる。大量のデータから多種多 様な情報を自動的につくり出す ことが可能となる。今までのよ うに、人がデータを収集し、目 的に合わせて都度加工して必 要とされる情報を作成するのと は、データ分析の深さ・速さと いう点で圧倒的に勝っている。 反面、自動的に大量のデータ を採ってはいるものの、それが 活用されず、ただデータとして だけ蓄積され続けるという事態 になる可能性も大いにある。機 能的に何でもできるということ は、役に立つということに必ず しもならない。 実際にフォークリフトの分析 を行ったときも、どのフォーク リフトが何時何分何秒にどの ビーコン発信機に反応したかと いうデータを大量に収集するこ とができた。しかし、それだけ では、フォークリフトがいつど こをどう動いたかというフォー クリフトの軌跡を見ることはで きない。ましてや、どこのエリ アでどれくらいの時間で積み下 ろしをしているのかも、はっき りとはわからない。 収集されたデータをどのよう に加工して役立つ情報にするか
【事例 1:設備点検業務の効率化】
ある施設では設備点検に関して、下記 のような課題を抱えていた。 ・点検記録は紙に記入し、事務所に戻っ て点検結果をコンピューター入力 ・月次報告、年度報告は都度、別途フォー マットに入力して作成 ・異常発生時、経験が少ないと適切な対 応ができない ・過去の点検結果を基にした予防予知活 動にはなっていない 新人はその場で必要な点検表をすぐに 出せないことがある このような課題を解決すべく、スマー トデバイス(本実験で使用したデバイス はタブレット)を活用したスマート設備 点検システムを構築した。 点検すべき設備や、その近くにビーコ ンと呼ばれるブルートゥース発信機を置 き、タブレットを持った点検者が設備の 近くに来ると、そこで行うべき点検表が 表示され、点検者は画面指示に従って入 力を行う。 入力されたデータはデータベー スとして蓄積され、さまざまな目的に活 用できる仕組みである(下図) 。 この仕組みによって、 ・重複業務のムダ(点検結果の再入力、 点検結果を使った報告書の作成など) ・管理の手間(膨大な点検結果や報告書 の検索、再分類) ・対応の遅れ(異常発見時の連絡、対応) ・スキルのばらつき(新人の育成、個人 での作業方法・技能差) を低減することができる。 またタブレットの特徴を活かして、 検個所と点検者自身の位置の表示 ・見取り図上にヒヤリハットの気づき登 録や危険個所の警告情報の表示 ・点検時の状態のカメラ撮影や前回画像 との比較 ・点検時の異常対応に必要となるマニュ アルや図面、過去の不具合修理記録の 表示 ・Web カメラを使った本部と点検現場の 通信連絡 などの機能の追加も可能となる。 この仕組みは、 さまざまな現場での「点 検のあるべき姿」の追求に大いに貢献す ると考えている。
・点検個所と点検項目が多岐にわたり、 ・画面の点検場所周りの見取り図上に点
点検内容を 確認・報告
最新の点検 内容を取得 ビーコンで検知した 点検項目を入力
クラウド
点検内容や ビーコン情報の 登録・編集 点検結果の 確認・分析 作業員からの 報告書をチェック
- ▲TOP