ビジネスインサイツ63
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イオデザインプログラム」への参画も新しい挑戦のひとつ だ。このプログラムの目的は、現場目線でニーズの本質を つかみ、それを医療機器のイノベーションにつなげるとこ ろにある。中川氏は「これまでの、 『何が必要ですか。競 合他社より少しでも良いものを』といった顕在するニーズ から、医療現場で当たり前にやられる行為に潜む潜在ニー ズを技術者自らが見出していくことで、起承転結の転を変 えていく取組みの重要性を感じています。われわれには JMAC に教わった考え方や手法という実現に結び付ける 手段のトレーニングを積み重ねており、これとバイオデザ インの考えの融合がポイントです」と説明する。 続けて中川氏は「普通は、 『10 年先のことを考えても何 が起こるかわからないから無駄ではないか』と思いがちで すが、 『10 年先にはどうしたいか』をしっかり考えて現実 路線に落とし込んでつなげる、という発想に切り替えがで きるようになってきました。 『このテーマでこんなことが できる』とワンランク上の提案ができるようになり、いく つかのテーマはすでに具体化しています。メンバーたちに は、これからもさらに積極的に取り組んでいってもらいた いですね」と期待を込める。 佐藤氏は、 「こういうことを考えて取り組んでいく人間 を代々つくっていくことは非常に重要で、われわれにとっ ての一番の課題だと考えています。JMAC には引き続き 事業全体の見直し改革に力を貸していただいていますが、 われわれ自身が将来に対する危機感を持ち、若手のみなら ず各世代が『自分たちの 10 年後をつくっていく』という 継続した会社にしていかなければなりません」と未来を見 据える。 人・事業・未来――人と事業をつなぎ、未来につなげて いく――“ 若手の発想 ” を活かし、未来志向の事業展開を 担 当 コ ンサルタントからの一言 目指すジェイ・エム・エスの新しい挑戦は、今始まったば かりだ。
井手 純一 氏 中央研究所 第 4 研究室 林 裕馬 氏 中央研究所 第 1 研究室
活動から何を得たか?—リーダーの声③
将来を見据えて若い人たちが活動していくことの面 白さを感じました。目に見える成果は 5 年 10 年先か ます。私のチームは個性の強 もしれませんが、その間に人が育つことに意義があり い メ ン バ ー ば か り で、 誰 が リーダーでもおかしくないく らい、みんながサポートして くれたので、ひとりで悩むと いう感じはなかったですね。 自分としては、世の中の動向 の精密なデータを集め、分析
してチーム内に発信できるよ 岡本 恭典 氏 うになったことが収穫です。 中央研究所 第 2 研究室
バイオデザインプログラムを実践してみて
井手氏:以前は技術のシーズ目線での研究でしたが、 バイオデザインによってニーズを常に意識するように なりました。自社だけでなく外部の力を積極的に取り 入れる発想も出てきました。
林氏:ニーズのウェイトが重くなり、ニーズの言葉の 意味をもっと突き詰めて考えるようになりました。社 内にいながら “ 起業家 ” として事業を起こすチャレンジ が可能になったと感じます。
技術が事業に もたらす価値を 考え続けよう
今日の研究開発者に求められる起業家精神
かつては、ある技術を特許化して儲けるモデルが主流でしたが、今日の成熟市
チーフ・コンサルタント
高橋 儀光
場ではそれが通用しなくなっています。こうした流れの中、研究開発者には特 定の技術分野を深掘りするだけでなく、起業家の目線で事業機会を捉え、自社 ならではのビジネスの創出を求められるようになりました。ジェイ・エム・エ ス様は全自動透析システムをはじめ、数々の先駆的な技術開発で医療の発展に 貢献してこられました。これからは一連の活動に参加された専門技術と起業家 精神とを併せもった次世代リーダーたちを起点に、常に新しいビジネスを考え ることが会社の「当たり前」になることで、さらに飛躍されることでしょう。
シニア・コンサルタント
細矢 泰弘
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