ビジネスインサイツ63
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経営基盤の強化に向けたさまざまな取組みについて、 JMAC が支援した事例をご紹介します。
〜品質保証教育体系の再構築で「ありたい姿」を実現する〜
「プレミアム品質」 への挑戦 Y Q M の実践と課題
ヤンマークオリティマネジメント
時代の先端をいく魅力的な商品・サービスを創出する裏
なぜ今、 「品質第一」なのか?
ヤンマーは 1912 年(明治 45 年) 、ガス発動機の修理・ 販売を行う 「山岡発動機工作所」 として創業した。ヤンマー といえば農業用トラクターがなじみ深いが、農機のほかに 大型船のエンジンや建設機械、エネルギーシステム、マリ ンプレジャーなど、創業以来 100 年以上受け継がれてき たエンジン開発技術を生かし、さまざまな分野で事業を展 開している。 創業時からヤンマーの「品質」にかける思いは強く、 1963 年に 3 代目社長となった山岡淳男氏は、市場に送 り出すすべての商品は「一貫した品質管理のもとで、一 貫した品質が保証されたものでなくてはならない」とし、 YQM(ヤンマークオリティマネジメント)と命名した総 合品質管理活動を導入した。 この活動の特徴は、対象を生産部門だけにとどめず、 ヤンマーグループの全部門としたところにある。結果、 1968 年には権威ある「デミング賞」をエンジン業界とし て初めて受賞した。 それからも事業の成長を続けてきたヤンマーであった が、グローバル市場への展開、顧客要求の多様化への対応 などの環境変化を受け、品質の捉える範囲が広がり、従来 の取組みだけではカバーしきれなくなってきた。
側には、確固たるベースが必要であり、その足元を固める うえでも「今こそもう一度 YQM の理念に立ち返り、すべ ての事業部門で品質改革を推し進めなくてはならない」と 考え始めた。 その背景について、本活動における品質保証教育の担い 手である野田康宏氏 (品質保証部 企画グループ 専任部長) は「昨今では、とくに企業コンプライアンス事案が企業の 存続を左右するため、改めて品質に関する考え方を隅々ま で浸透させる必要があった」と語る。
品質保証教育の 再体系化におけるポイント
ヤ ン マ ー は も と も と 3 年 前 か ら、ア グ リ 事 業 部 で JMAC の支援のもと品質問題に取り組んでおり、並行し て「設計品質向上研修」を立ち上げてきた。 この設計品質向上研修をきっかけとし、全事業部門に展 開したのが今回の品質保証教育であるが、なぜ全事業を巻 き込む取組みにつながっていったのか。 これについて、設計品質向上研修を立ち上げ、今回の活 動も支援する JMAC チーフ・コンサルタントの渡部訓久 は「デミング賞受賞以来、ヤンマーさんの約 50 年間の品 質改善活動と品質ロスコストの推移を振り返ると、効率と
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