ビジネスインサイツ63
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意見を聞いて、みなさんの意見を総合的に生かせるような 形にしました。最後は、トップ方針として打ち出していた だき、全社方針として品質保証教育を推進することになり ました」 (野田氏)
ストも、かなり難しい内容にもかかわらず理解が進んでい るようです。何よりも研修に取り組む姿勢と進め方が積極 的になってきているのがとても頼もしいですね」と順調な 進展ぶりを語った。
実践でレベルアップ! 組織的な取組みへ変化
こうして構築された品質保証教育体系のもと、現在は多 くの事業体でベーシックコースの知識編の研修が進められ ており、毎回、開発や生産、品管、品証、CS(サービス) などの部門から 20 人ほどが参加している。 野田氏は、研修の様子を次のように語った。まず、最近 の変化については「開発部門に向けた研修に製造部門の人 が参加するなど、部門の垣根を超えた積極的な取組みが増 えています。いろいろなところに自らアプローチして『お 客様の意見をこのように製造でも反映できるね』と意見交 換するなど『みんなでいいものにしていこう』という熱意 を感じています。いろいろなところで予想以上に共創が進 んでいるのがうれしいですね」と話す。 また、組織的な活動定着への期待について「ある事業体 では、派遣責任者の責任感が非常に強く、責任者も毎回参 加して、一緒にいろいろと考えてくれます。演習テーマを 決める際も、事業部に合った演習テーマになるような提案 やデータを提供してくれるなど、非常に協力的な形で参加 していただいています」と感謝の意を込めて語る。 研修の成果についても「スタート時と比べると、意識的 にツールを使ったり、実務にも応用したりと、実践を通し てかなりレベルアップしてきています。毎回行う理解度テ
理想のままで終わらせない 「ありたい姿」 を実現する教育を
品質保証教育では、ベーシックコースの次のステップと して、マネジャーコースを 2016 年下期からスタートさせ ている。 これについて渡部は「ベーシックコースで学んだ内容を 実務で実践するためには、マネジャーのバックアップは必 須です。部門間連携や、品質のつくり込みプロセス全体の 改善、近視眼的ではなく、中長期を見据えた改革施策の実 践などを期待します」と説明する。野田氏は「すでにベー シックコースで自主的な部門間連携をし始めているので、 マネジャーコースでそれを加速していけるのはとてもいい ですね。研修前はなかなか難しいと思っていたのですが、 こうありたいという理想形を今、実現しつつあると感じて います」と語る。 また、今後の課題について、髙畑泰幸氏(執行役員技 監 品質保証部 部長)は「品質問題においては未然防止へ の取組みが重要です。実際に品質ロスコスト削減の効果を 出すまでには長い目で見た取組みが必要ですが、品質保証 教育が未然防止につながるカリキュラムになることを期待 します。また、ビッグデータ解析のような新技術も出てき ており、蓄積された品質情報をうまく活用して、素早くク レームを検知できるシステムをつくっていくことも必要だ と思っています。クレーム検知までの時間を短縮できれば コストは必ず下がるので『未然防止への取組み』と『問題 発生後の対応スピード』の両輪で進めていきたいと思って います」と話す。 現にある事業体でそういった声を多く聞いているという 渡部は「まずは、品質を第一に考える人、組織、風土など の品質改善のベース確立が必要で、そのうえで新たな仕組 みやツール構築を目指したい」と述べ、野田氏は「これま でに蓄積されたデータの解析技術の構築も含めて実行して いくことが必要だと考えています」と見解を述べた。
髙畑 泰幸 氏 (執行役員技監 品質保 証部 部長)
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