ビジネスインサイツ63
- ページ: 6
- 6
〜「目先の成果」だけでは終わらせない。本質的な課題解決で会社を強くする〜
ビジネス成果に向けて JMAC が支援した 企業事例をご紹介します。
人を活かし、組織を動かす 「ミドルの自律」が生産現場を変える
プラチナ万年筆株式会社
プラチナ万年筆は 1919 年の創業以来、いつの時代も「こうい うものがほしかった」というユーザーの想いに応え続けてきた。 2011 年に発売した「#3776 センチュリー」も、 「2 年間使わな くてもインクが乾かない」という画期的な機能が好評を博し、大 ヒットした。その爆発的な売れ行きに生産が追い付かず、生産性 向上への取り組みをスタート、半年で生産能力を 2 倍に引き上げ た。その後、さらなる高みを目指して本格着手したのは「ミドル 田俊也氏に、活動の軌跡と今後の展望を伺った。
の自律化」だった。果たしてその真意とは。代表取締役社長の中
代表取締役 社長
中田 俊也 氏
Toshiya Nakata
形で戻していただけたことに感激した」と喜びがあふれて
祖母から父、そして娘へ
いたという。このエピソードをうれしそうに語るのは、プ ラチナ万年筆の代表取締役社長・中田俊也氏だ。 「このお手紙を読んだとき、 『われわれはこういうことの ために万年筆をつくり続けてきたんだな』と感慨深いもの がありました。こうしたユーザー様とのご縁をずっと続け ながら、お客様のお喜びの中でビジネスをしていくことが われわれの使命だと考えています」と話す。 万年筆ユーザーには義理堅い人が多く、しばしばこうし た手紙を受け取るといい、 「私も万年筆でお返事を書いて いるんですよ。忙しい身ではありますが、こういうことは 大切にしたい」とユーザーへの想いを語る。 文字を書く――その日常行為が、万年筆を使うことで特
受け継がれた 1 本の万年筆
「この手紙は、祖母が 60 年前に愛用していた『オネス ト 60』でしたためています」――30 代前半の女性からプ ラチナ万年筆に手紙が届いたのは、取材のつい 1 ヵ月前 のことだ。祖母の形見として父が大切に保管していたその 万年筆は、自分が譲り受けたときにはペン先からインクが 出なくなっていたという。地元の文具店経由で修理に出す と、 「おばあさまの形見につき部品交換不可」と但し書き がついて手元に戻り、修復されたペン先からはインクが出 るようになっていた。文面には「祖母が使ったそのままの
- ▲TOP