ビジネスインサイツ64
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をつくり、全員で内容を共有する。 井上氏は「ワタコンでは、長年同じ組織にいるのに初め て聞く話ばかりで、コミュニケーション不足を実感しまし た。人間関係を良くする入口としては、こんなにぴったり な活動はないと思いますね。from to で、普段気づかない ことをお互いに指摘し合えたのも良かった」と振り返る。 ちょうど自身が人事部に着任してきたころに、ワタコン と from to を体験した前田信久氏(人事部 人事課 課長補 佐)は「東京の職場はワンフロアなので、異動前からみん なの顔と名前は知っていて『お互いに改めて話すこともな いよね』という感じだっただけに、新鮮でした」と語る。 人事部における IPM の成果について井上氏は「まず、 私自身の仕事分担に対する姿勢がはっきり変わりました。 お互いのことを知って人事部の仕事を共有することで、非 常に仕事を頼みやすくなり ましたし、一般職のみなさ んには希望を聞いたうえで より高度な仕事を積極的に 任せるようになりました」 とコミュニケーション強化
前田 信久 氏 (人事部 人事課 課長補佐)
ながったと実感を語る。
マネジャー IPM で横展開 悩みを共有できる “ 場 ” をつくる
現在では、職場単位のみならず階層別でも IPM を展開 し、会社全体での取組みを推進している。 まず活動のキーマンとなる課長層から始めたが、井上氏 はその背景を「新しい人事制度では、課長のマネジメント 力がより重視されるようになりました。物理的・精神的な 負担感が増す中で、課長同士が組織を超えて悩みごとを共 有できる場が必要だと考えました」と語る。 IPM は 1 回 10 名程度、 1 泊 2 日の合宿形式で行われた。 飯野海運で最後に宿泊研修が行われたのがいつだったか誰 も思い出せないほど久々の取組みだったが、 「忙しいマネ ジャー層を2日間拘束するには合宿のほうが効率的」と考 え、調整を重ねて実現した。 「IPM では時間をかけてワタコンを行い、そこで打ち 解けてから会社の将来像について全員で語り合いました。 じっくりと本音ベースで前向きなコミュニケーションがで きたと感じています。次は、新たな試みとして部長クラス の IPM 宿泊研修を実施する予定です」 (井上氏)とさらな
が一般職のやりがいや自身 のマネジメントの変化につ
改革で職場の意識はどう変わったのか?
人材マネジメント改革は実際の職場にどのような効果をもたらしたのか。ケミカル船第一部のお二人にお聞きした。 宗村 健弘 氏(ケミカル船第一部 ケミカル・石油製品船課 課長) 人事制度が変わった当初は、 「少人数で家庭的な会社なので、あまり評価に差をつけないほう がいいのではないか」という思いもありました。しかし今では、人事制度改革を実施してよかっ たと感じています。評価者としての意識も高くなりましたし、IPM で普段のコミュニケーショ
ンが活発になったので、フィードバック面談では本人にコメントを伝えやすくなりました。評 価を受ける側も意識を高く持っていますから、それを次のパフォーマンスに生かしてレベルアッ ありますので、今後もさらにその部分を伸ばしていきたいですね。ワタコンは、お互いを理解 プしています。IPM で培ったコミュニケーションの良さが組織活性化につながっている実感が し合う手段としては非常に有効ですから、今後、課に新しい人を迎えたときにはまずワタコン から始めたいと思っています。 酒井 あや子 氏(ケミカル船第一部 ケミカル・石油製品船課)
IPM を始めてからは、他部署の人たちに「課の雰囲気がいいね」とよく言われるようになりました。ワタコンと同時進行
で「今、どのような仕事をしていて、何が大変か」を説明して苦労を分かち合い、仕事内容の共有 もできたので、その後は協力して仕事を進めることが増えました。from to では、普段はなかなか 言えない「良い点、今後期待する点」をお互いに発表するので、褒められたときにはうれしいです し、悩みを抱えていそうな若手社員には「自信を持ってください」と伝えてあげることができたの を持てるようになったり、同僚の新たな魅力を発見することができたりと意義深いものでした。改 革を通して、仕事の質やモチベーションの向上に変化をもたらしたと感じていますので、これから も飯野海運の一員として、積極的に取り組んでいきたいと思います。 もよかったですね。また、各種研修は他部署の人たちと話し合いながら進めるので、多角的な視点
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