ビジネスインサイツ64
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る展開を目指している。
重要なのは “ 腹落ち ” ルールの前にまず人の心ありき
2013 年 7 月にスタートして以来、人事制度の改定、新 たな評価制度の運用、IPM と順調に進んできたかに見え るが、現場からの抵抗感もないわけではなかった。 井上氏は「制度が変わると、どうしても違和感はあるも のです。しかし、それは何か考えがあるからこそ生じるも のですから、抑え込むのではなく、話し合いなどを通じ て “ 制度への理解 ” を進めていくことが大切です。制度が 変わったことをきっかけに、常に考えてくれる人が 1 人 でも 2 人でも増えてくれることを期待していますし、そ れこそが制度の定着や組織活性化には重要だと考えていま す」と語る。 また、 「制度をつくると微に入り細に入りルールに意識 が行きがちですが、その前に制度の考え方を理解してもら うことが大切なはずです。重要なのは、制度を使う人が本 当に “ 腹落ち ” しているかどうかです」といい、 「さらに 人が変わらなければ組織は変わりません。組織を変えてい くためには、まず “ 人の意識の問題 ” をクリアする必要が あるのです」とも語る。 今、そういった点で一番難しいと感じているのは “ 評価 の目線合わせ ” だといい、 「お互いが自分の基準をすり合 わせていくのは容易ではなく、今もなお課題として残って います。しかし、制度の目的である適正な人材育成のため には重要な部分ですから、これからも繰り返し継続的に 行っていきたいと考えています」と述べる。
想いをひとつにして ともに飯野海運の未来をつくる
今回の人事制度改革では「“ 人間関係の質 ” が最終的 には “ 仕事の質 ” につながる」ということを強く認識し たという井上氏。それは JMAC との関係においても同じ だったと振り返り、 「JMAC のみなさんが非常に明るいの で、人事制度を変えていくというプレッシャーの中でも朗 らかな気持ちで仕事を進めることができたのは大きかった ですね。時には共通の趣味の話をすることもあり、プライ ベートな部分でも良好な関係を築けたことは、プロジェク トを進めるうえでもプラスになっていると思います」と語 る。そして「JMAC には、人事制度の改定から運用 ・ 定着、 研修に至るまで一貫して支援していただいていますが、こ れからも現場目線でのコンサルティングを進めていただき たいですね」と期待を寄せる。 最後に井上氏は「今回の改革は、活性化活動や合宿討議 など、これまでの飯野海運では考えられなかった目新しい ことばかりでした。ただ、今後これは実績として残ります ので、人事制度に対する考え方や、より真剣に取り組んで いかなければならないことが伝わったような気がします。 次は部長の IPM 宿泊研修を行いますが、そのあとは課長 より前の若い層にも広げていきたいと思っています。制度 のためにも共通の想いが必要なので、調整しながら実現し ていきたいですね」と活動への想いと今後の展望を語る。 「筋肉質な会社」を目指すためには、まず「人間の心の 問題」をクリアする――人事制度改革における飯野海運の 信念は今、大きなうねりとなって成果を出し始めている。
につなげる
意識を高め 職場の行動改革
一人ひとりの
担 当 コ ンサルタントからの一言
人材マネジメント改革は多面的に粘り強くじっくりと
人事制度改革は会社が社員に求める姿の実現を促すために行いますが、制度改 革だけで実現するものではありません。現場に対する経営からの行動改革の働 きかけが必須です。飯野海運様はこの取組みをじっくりと時間をかけてでも進 めていくという意思決定をされ、粘り強く改革を進めておられます。本文で触 いた “ 飯野イズム ” を再認識し、飯野らしさの追求の機運も高まりました。今 けでなく実の成果獲得につながるものと期待しています。 れていた部長層による IPM も実施されました。参加者はいつのまにか薄れて 後は IPM を行動改革推進の場としても活用しようとされていて、意識改革だ
チーフ・コンサルタント
伊藤 冬樹
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