ビジネスインサイツ64
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してあげて、自然と変わるのを待つこともときには必要だ と考えています。 「営業センター」は、セールスだけでなく特約店の意識 改革も進めました。センターには特約店からの電話やメー ル、FAX などあらゆる情報が集まるため、そのデータを もとに電話量や質問内容などを分析し、フィードバックし ています。それは特約店そのものを強くし、顧客満足の向 上にもつながっていきました。まさにねらいどおりの展開 で、現在はさらなる効率化を目指し、営業センターを「受 注」 「見積もり」 「問い合わせ」の機能ごとに集約し、運営 しています。
のときの戦略のポイントは、 「リモデル実績の定量化」と 「ショールームのプロフィットセンター化」です。 まず、 「リモデルがどこでどれだけ売れているのか」を 把握するため、販売実績のコード化を進めました。2 年位 経って把握の精度が上がってきた段階で、セールスの成果 指標を全部変えていくというプロセスを踏んでいます。 コストセンターであるショールームの成果指標はさまざ まなメーカーが一番困っているところだと思いますが、わ れわれはショールームの来館者数や見積もり内容、見積も り金額や受注金額などをすべてデータ化しています。これ によりショールームをプロフィットセンター化できます し、ショールームの目標を明確に定量化できるのです。さ らに営業セールスがショールームの重要性を理解できるよ うにもなるため、このような紐づけはとても大事です。 また、リモデルでショールームを活用する最大のメリッ トは、商品単価の高さにあります。新築では予算の関係で 後回しにされがちな水回りですが、リフォームとなると真 剣に考えて、ほしいものをお買い求めいただけるので単価 が高くなるのです。そのため、リフォームの営業利益は新 築より高く、リフォームのウェートを増やせば増やすほど 売上の伸び以上に利益率が上がっていくという構図があり ます。これをわかっているかどうかも非常に重要です。 こうして流通改革と販売革新、リモデル戦略を進めてき ましたが、これらは決して最初からセットで行ったわけで はありません。一つひとつ目の前の課題を解決していった ら、最終的にリモデル戦略に結びついたというのが実態で す。ただ、改革の一番大きなきっかけはやはりマーケット の激変です。私が社長になった 2009 年はリーマンショッ クの直後でしたので、次はそのお話をしたいと思います。
「定量化」と 「ショールーム」で リモデル戦略を加速する
私が当時の社長から 「リモデルをやれ」 と言われたのは、 流通改革と販売革新を推し進めている最中でした。TOTO は 1990 年代前半からリモデルにシフトしていましたが、 私はそれに関心がなく、本当はやりたくなかったのです。 しかし社長命令ですから、 「やる前に 3 ヵ月数字を集めさ せてください」と言って、若い社員を 4、5 人集めて統計 局に毎日のように通い、あらゆるデータを収集・分析しま した。その結果、リモデル市場の成長性を確信した私は、 2003 年にコンタクト営業推進室長に就任しました。そ 講演後の質疑応答・意見交換より
Q : 営業センターに集まるデータを効果的に活用する仕掛けは? 張本 : 大きな 4支社に営業センター企画の課をつく り、 デー タをいかに有用なものに変えていくかというミッションを
与えました。また、全国の営業センターの成果指標をつ
くり、コンテストで表彰して競争意識が芽生えるようにし
ています。 「リードする仕組み」 と 「評価される場の設定」 、 この 2 つをセットで行いました。 Q: 「ソリューション営業」を促進するための施策は?
腹落ちした真のグループ経営で 企業価値の最大化を目指す
2009 年、バブル崩壊時以来 10 年ぶりの赤字転落が、 私の社長就任のスタートでした。このときに考えたのが、 「全社最適」と「全社一丸」の 2 つです。 「全社最適」を具現化するために策定したのが、長期経 営計画「TOTO V プラン 2017」です。事業戦略に全社 最適活動を組み込み、改革の柱としました。商品別だっ た事業を「国内住設事業」 「海外事業」 「新領域事業」の 3 事業に再編し、これを縦軸に、5 つのタスクを横軸にして
張本:私が塾長になって 「ソリューション塾」を立ち上げ、 ソリューション営業できる人間を 100 人つくりました。全 研修テーマを持ち場で実践して 1 ヵ月後に報告・議論す る、ということを繰り返すのです。研修には私も全部出 たのです。これから君たちが動いていくことが会社を変え 国 100 ヵ所の営業部門から係長クラスを1 人ずつ選出し、
席し、夜は酒を酌み交わしながら 「君たちは選ばれて来 ていく大きなキーになる。だから真剣に取り組んでもら が具体的に何をするのかという解になったと思います。
いたい」と言い続けました。こうした一連の研修や議論
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