ビジネスインサイツ65
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人と組織(チーム)の力を最大化することを目的に JMAC が 支援した企業事例をご紹介します。
「改善活動がわかるリーダー」 を育て、 組織改革を加速する
〜手帳製造の老舗「新寿堂」のものづくりと人づくり〜
「NOLTY 品質」を守りながら 「納期遅延ゼロ」を目指す
新寿堂は 1950 年の創業以来、手帳製造を専門に手掛け てきた。1952 年からはビジネス手帳「NOLTY(能率手 帳) 」を日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)と ともにつくり続け、60 余年を経た 2013 年、さらなる飛 躍を目指し JMAM のグループ会社となった。 「NOLTY 品質」と呼ばれる高品質な手帳づくりは、 脈々 と受け継がれてきた職人技に支えられている。1 つのライ ンですべてが仕上がる製本とは異なり、手帳には 20 以上 の短い工程ごとに人手が必要だ。左右ページの罫線をぴっ たりと合わせ、一点の小さなシミもつけないことが手帳づ くりでは重要であるが、 それは非常に難しいことでもある。 新寿堂は NOLTY や法人手帳を中心に年間約 2000 種類、 800 万冊もの手帳を生産するなかにおいて、それを当た り前のこととして続けてきた。 こうした高品質な手帳をつくり続ける一方で、新寿堂は ある大きな問題を抱えていた。納期遅延により顧客の信頼 を失いかけていたのだ。2013 年のグループ会社化を機に JMAM より代表取締役社長に就任した村上覚氏は、これ を喫緊の経営課題として改革の方針を打ち出した。 「決まっ ている納期にきちんと納品できないから、発注側は安心し て発注できない。納期を守らないことがお客様の信頼を
失った一番の原因ですから、まず『納期遅延ゼロ』を達成 して信頼をもう 1 回取り戻そうよと。 そこから始めました」 こうして 2013 年、 新たな経営体制のもと、 新寿堂の「納 期遅延ゼロ」への挑戦が始まった。
人材育成の 2 本柱で 組織を抜本的に変える
改革をスタートするにあたり村上氏がまず行ったのは、 全従業員との個人面談だ。 「組織を抜本的に変えるために は、まず 1 回ウミを出しきることが重要です。みなさん の “仕事への考え方” や “やりづらいこと” などをいろい ろと聞いていきました」 。その結果、納期遅延の主な原因 は次の 2 つであることがわかった。 ① そもそも納期への問題意識が薄い ② 計画的な生産をマネジメントする体制が不十分である 村上氏とともに JMAM より工場責任者に着任し、個人 面談にも同席した雲野正夫氏(取締役 生産本部 本部長) は「新寿堂は企業向けや代理店経由での受注が多く、毎年 必ず受注がきていたので納期への問題意識が薄かったよう です。また、工場には責任者が 1 人いましたが、あとは 全員フラットな状態でした」と当時の状況を説明する。 「納期遅延ゼロ」を目指すためには、まずは人を育てる ことが必要だと感じた村上氏は、次の 2 つを柱として人 材育成を進めていった。
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