ビジネスインサイツ65
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株式会社新寿堂
ビジネス手帳「NOLTY(ノルティ) 」のメイン工場である新 寿堂は 2013 年、 「納期遅延ゼロ」への挑戦をスタートした。 た人材育成で、職人気質の従業員たちはどう変わっていった した村上覚氏は、どのようにして彼らに想いを伝えてきたの 動を続けてきた今、新寿堂の人と組織は大きく変わりつつあ る。今回、村上氏にその活動の軌跡と今後の展望を伺った。
「納期に対する意識改革」 「リーダーの育成」の 2 本柱で進め のか。そして、60 年以上続く老舗に他社から新社長に就任 か。 「人は本当に変わるのだろうか」と苦悶しながら地道な活
Satoru Murakami
村上 覚
取締役社長
氏
① 納期に対する意識改革 ② マネジメントできるリーダーの育成 まず、 「①納期に対する意識改革」については、朝礼を 毎週月曜日に行うことを習慣づけ、その中で繰り返し「納 期の大切さ」 を伝えた。 「毎週 1 回の朝礼が教育の場だった」 と語る村上氏は「最初はみんな『何を言っているんだろう な』とぽかんとした感じでしたが、わかりやすい事例を用 いて何度も何度も伝えて、徐々に浸透していったように思 います」と振り返る。当初はスタッフ全員から「機械を止 めて朝礼するなんて」と反発があったが、今ではどんなに 忙しくても全員が機械を止めて参加するようになった。 また、 「②マネジメントできるリーダーの育成」につい ては、各職場にリーダーを置いて朝礼の進行をさせたり、 「今日必ずやること(製品番号とアイテム、数) 」をリスト アップさせるなどして、徐々にリーダーとしての自覚を醸 成していった。
と評価する。 一方で、 「その知識を現実の仕事にどう結びつけるのか が難しい」とも感じており、その打開策として知識を実践 につなげる「P コース」 (現場改善実践研修)を JMAC 支 援のもとスタートした。P コースの “P” は、 “Production” を指し、 「生産現場で行う改善活動のコア人材を育成する」 ことに主眼を置いている。まさに先の「②マネジメントで きるリーダーの育成」を目指す上でも最適な研修だった。 1 年目の去年はどちらかというと受け身だったが、2 年 目の今年は P コースに合わせて生産を少し前倒しにして 臨んだ。 「今年は若手リーダー 3 人が受講しましたが、今 までの学習が実践につながったので、きつかったとは思 いますが楽しそうでしたね。一緒に受講した JMAC と JMAM の新人たちとも活発な議論をしていたので、そう いった面でも大変良い経験ができたのではないでしょう か」 (雲野氏)
「P コース」で実践力を強化! 「改善活動がわかるリーダー」を育てる
さらに、3 年前からは生産現場においての知識を習得す べく、全員必須で「生産マイスター講座」 (JMAM 通信講 座) を受講し始めた。村上氏は 「それまでは “品質”といっ てもみんな理解が違いましたが、 『こういうことを言って いるんだな』 という共通言語ができたのがとてもよかった」
雲野正夫氏(取締役 生産本部 本部長)
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