ビジネスインサイツ65
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になった。 「今、20 代から 30 代前半の若いリーダーたち が課長の補佐としてすごく引っ張ってくれています。年 1 回の合宿会議では、みんなでいろいろな問題点やどのよう な会社にしたいかも話し合うようになりました」 (村上氏) 村上氏はこの 5 年間を振り返り、 「人は本当に変わるん だうかと思い悩んだこともありました。しかし、われわれ が諦めてしまったらそこでおしまいです。時間はかかるけ れど諦めず、理解してもらうまで同じことを繰り返し言い 続けてきたという感じです。だからこそ、教育や日頃の関 わりはすごく大事だなと思いますね」と語る。
熟練の技が NOLTY 品質をつくり込む
1949 年の誕生以来、多くのビジネスパースンに愛 ブランドとして生まれ変わった。長年愛されて続けて ユーザーに伝わるからこそ。その NOLTY 品質は新寿 用されてきた「能率手帳」は、2013 年に「NOLTY」 きたのは、徹底した品質へのこだわりがあり、それが 堂の熟練の職人たちに支えられている。印刷から紙の 断裁、折り、丁合、背固め、表紙付けまでのそれぞれ の工程で、熟練のカンと技が NOLTY 品質をつくり込 いため、熟練者が1つひとつ手作業で仕上げている。 んでいく。とくに表紙付け(写真)は機械ではできな
新寿堂ブランドを発信し 夢とキャリアを描ける会社に
今後の経営課題について村上氏は「まず、企業として当 たり前のことをしていきたいですね。売上を上げて経費を 削減し、利益をきちんと出して社員の人たちにもっと還元 したいと思っています。それと同じウエイトで、みなさん が新寿堂で 2 年後 3 年後に自分が目指したい姿、キャリ アを描けるような会社にしたいですね。社員があってこそ のものづくりの会社ですから、人を大事にしたいという想 いがベースにあります」と語る。 また、IT 化とうまく共存していくことも大切であると し、 「本当に人でやらなければいけないところとセンサー やロボットでもできる作業をしっかり見極めて、IT 化で きる部分を担っていた人たちにはもっと別のこと、たとえ ば製本をより深く研究してキャリアアップできるような方 法を考えていきたいですね。 そういった現代の力を借りて、 製本業をレベルアップさせていきたいと考えています」 最後に、新寿堂の未来、そして社員への想いをこう語っ た。 「現在は OEM で手帳をつくっていますが、いずれは 新寿堂のブランドとして日本もしくは世界に手帳を出して いきたいと考えています。そうして外に発信していくこと で、社員もやりがいを感じ、夢を描きやすくなるのかなと 思っています」 「納期遅延ゼロ」を目指して始めた人材育成で、新寿堂 の人と組織は大きく変わりつつある。手帳づくりのプロ フェッショナルたちの新たな挑戦は、 今始まったばかりだ。
第一歩は ﹁言葉の統一﹂
です
組織改革の
担 当 コ ンサルタントからの一言
チーフ・コンサルタント
「実感」は組織改革活動の有益な処方箋
新寿堂さんが取り組まれた「生産マイスター講座」と「P コース」は、同社が 目指す組織像を“ 実感をもって” 確立するために、非常に有効な取組みであっ たと認識しています。今回、新寿堂さんは、座学および実践研修を通じて 言葉の定義・意味づけを社内で統一し、並行して改善活動サイクルを「組織と して」完遂する経験を得ました。これらの取組みを通じ、組織改革を行ううえ で必要なプロセス・ステップを、新寿堂さんのメンバーの方々は実感すること ができたのではと思います。今後のさらなる研鑽を期待しております。
有賀 真也
「QCD(Quality: 品質、Cost:コスト、Delivery:納期 )」をはじめとした各種
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