ビジネスインサイツ65
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スーパーのような形態では、とくに部門ごとに専任化し ていることが多いが、この点についてコンサルタントの角 田は、 「1 人の従業員が複数部門の仕事をできるようにな れば、他部門が忙しい時間帯にヘルプに入ったり、休みを とった人の代わりができたりするため、連休取得にも一歩 近づくのではないでしょうか」と述べる。 小野寺氏は、 「複数部門の仕事をできる人がいると、だ いぶん違ってくると思います。ぜひそれは取り入れたいで すね。ただ、長く専任で仕事をしてきたベテラン層にとっ てはハードルが高いと思うので、まずは新人の段階からそ ういった形の育成をして、徐々にベテラン層にも広げてい きたいと考えています」と、状況を見極めながら、しかし 積極的に進めていきたいと語る。
では、事態は好転しません。限られたリソースを活用し、 積極的に新しい形を探求していきたい」と述べる。 今後の展望については、 ① 人員不足への早急な対応 ② 従業員の満足度向上 ③ 地域のライフラインとしての役割の強化 という 3 点に重点を置くと語り、 「まず、先ほどからお話 ししているとおり、当社にとっては人員不足への対応が現 在の最重要課題の 1 つですから、引き続き、早期改善に 向けて注力していきたいと考えています。また、 『最少人 員で業務を回せるようになりました』 というだけではなく、 従業員の満足度向上も同時に目指し、働き方改革につなげ ていきたい」と話す。 さらに、 「今、労働集約型の産業は人件費をはじめ、さ まざまなコストが上昇しています。少子高齢化の進行が速 い地方では、商売の環境はますます厳しくなっていくで しょうし、われわれのような中小企業には遅かれ早かれ限 界が訪れると予想しています」と述べたうえで、 「震災の ときにも強く実感しましたが、 『食』という地域のライフ ラインを守るためにも、そういった時代に対応できるわれ われ独自のスーパーマーケットの形を生み出せるよう、危 機感を持って活動を続けていきたいと考えています」と今 後の抱負を語る。 少子高齢化時代に向けた独自戦略を進め、食のライフラ インとしての役割を全うしていきたいと熱く語る小野寺 氏。気仙沼発のこの取組みは、日本の未来予想図を描くう えで、大きなヒントになるに違いない。
「食のライフライン」としての使命 「独自戦略」で時代の要請に応える
片浜屋は平成 29 年度、宮城県名取市に新店舗をオープ ンする予定だ。実に 20 年ぶりの新規出店であり、他の地 域への出店はこれが初めてとなる。オープン前の人材募集 は、既存店舗の募集とともに片浜屋のホームページで積極 的に行われている。各部門の仕事内容と先輩の声を写真入 りで紹介しており、入社後にどのような職場で働くのかが 非常にイメージしやすい。小野寺氏も「一緒に当社の未来 を切り開いていきましょう!」という力強いメッセージを 寄せている。 働き手不足はこれからも課題として残り続けるはずであ るという小野寺氏は、 「 『人が来ない、来ない』と嘆くだけ
実現させてください
社長の想いを
生産性向上で
担 当 コ ンサルタントからの一言
活力ある店舗づく りには生産性向上活動が有効
人の生産性を向上させるには作業を変え、現場を変え、人の意識を変えること が大切だと考えます。現場に浸透しない付け焼刃の改善は成果が出ず、すぐに 元に戻ります。社長の想いである食のライフラインを守り抜き、地方の活力を 生み出すスーパーになるためにも、現場を見て現場の人と討議し、現場の人が 納得する改善を進めてほしいと思います。人口が減少し、環境はますます厳し くなります。店舗が変化しなければ生き残れません。変化を起こすのは働いて 活力ある店舗づくりを続けてほしいと思います。 いる人です。従業員の気持ちを変え、 行動を変え続ける取組みを続けることで、
角田 賢司
チーフ・コンサルタント
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