ビジネスインサイツ65
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開発畑出身の柏原氏は、 自社製品を片手に「プ ラスチックス」の可能 性を楽しそうに語って くださいました。
に採用されたほか、今後は産業用ロボットのアームや自動 車部材などの幅広い分野に展開できそうだ。 「2 つとも世界最大級の展示会に毎年出展しています。 今回はドイツで行われましたが、メンバーの中には展示会 が終わってもそのまま現地に残ってお客様のところをずっ と回っている者もいますね。じっとしていても先に進まな い、走りながら考えるという感じです」 こうして事業化の目途がある程度ついた段階で事業部に 移管し、チームは解散する。柏原氏は「事業がうまくいっ
一方、 「事業化推進センター」は技術部門と営業部門を 1 つに集めたセンターで、開発スピードアップと事業化推 進を強化すべく新設された。 センター内にチームをつくり、 新製品を世の中に投入するためのマーケティングやサンプ ル作成を一貫して行っている。 「当社の新しい素材をお客様に見ていただいて、 『おっ!』 と思われたときにちゃんと話が聞けて、すぐに機動力を発 揮できるチームにしています。事業化するまで動き回れる 専任部隊という位置づけのチームなので『好きなように走 り回っていいから、お客様にしっかり提案してきなさい』 と言っています」 現在運営しているチームでは、 新開発製品の 「エラスティ ル」 と 「ST-LAYER」 の実用化を目指している。 「エラスティ ル」はビーズの軟質系発泡体で、自由な形に成形できるた め、 「体にフィットするプロテクター」や「軽量でクッショ ン性のある車椅子のタイヤ」など、これまでにない用途を 探求している。また、 「ST-LAYER」は発泡体を炭素繊維 強化プラスチックスでカバーリングした複合品で、軽量か つ高強度、ねじれにも強いため、ドローンのボディパーツ 積水化成品のスゴイ技術② 優れた素材特性と発砲技術の融合化̶̶エラスティル
エラスティルは、優れた素材特性と積水化成品が長年培っ てきたビーズ発砲体のノウハウ・技術を融合させて開発した 「熱可塑性エラストマービーズ発泡体」 。ゴムのような弾性、 発砲スチロールの軽さ、ウレタンフォームの柔らかさを兼ね 備えた画期的な製品で、同 社の発砲成形技術により高 品質なものを大量に生産す ることもできる。 こうした特性により、ス ポーツ、各種産業、公共イ ンフラ、 医療、 住宅、 日用品、 寝具など、幅広い分野での 用途に適用できる可能性が 写真提供:積水化成品 ある。
たからこそ解散するので、 解散するのはいいことなのです。 だから、次から次へと新しい事業化推進センターのチーム をつくらないといけない」と素早いチーム結成、事業化、 解散がスピード開発の好循環を促していると語る。
グローバル戦略のカギは 「拠点化」と「マーケティング力」
今後はグルーバルレベルでのソリューションを加速すべ く、 工業分野に注力していきたいという柏原氏はこう語る。 「グローバルに展開するためには、世界共通のビジネス として使える工業分野は不可欠です。国内マーケットは少 子高齢化などの影響で縮小傾向にあり、日本密着型の生活 分野を事業基盤にしているだけでは大きな伸張性は望めま せん。現在の売上構成比は生活分野 6 割、工業分野 4 割 ですが、今後は生活分野を堅調に、工業分野を大きく成長 させて、2018 年度中には五分五分にまで持って行きたい ですね」 また、グローバルな展開をしていくうえで重要なのは、 ①拠点化を進め、現地供給体制を整備すること ②マーケティングで世界のニーズを取り込んでいくこと の 2 点であるという。 「まず、当社が今までお客様と一緒にやってきたことを、 国内のみならずグローバル拠点でもできるようにするこ と、これは大きいですね。たとえば、自動車メーカーが海 外で工場を立ち上げときに、そこでも同じものを提供でき るようにしていくことが非常に重要です」 また、マーケティングについては「たとえばドイツの展 示会だったら欧米の営業スタッフが集まり、来場者と議論 しながらネタを見つけていきます。グローバルで出た要望 に対して素材開発は日本で行い、それをすぐにグローバル へ生産を含めた展開をする。ニーズのあるところで、ニー
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