ビジネスインサイツ66
- ページ: 14
- 14
経営基盤の強化に向けたさまざまな取組みについて、 JMAC が支援した事例を紹介します。
〜「成果の見える化」でモチベーションを高め、活動を定着〜
「改善マインド」の育成で 工場の持続的成長を目指す
“ マンネリ化 ” を解消し、 改善活動の壁を突破する
大建工業は住宅用建材メーカーとして 1945 年(昭和 20 年)に創業し、70 余年もの間、新素材・新技術の開発 に挑戦し続けてきた。今回取材で伺った三重県津市の三重 工場は、木材を使った床材の製造に特化している。一口に 床材と言っても実に多種多様で、大理石のような質感と美 しさを追求した鏡面仕上げの床材や、木材組織にプラス チック樹脂を注入した高強度の床材など、住環境のあらゆ るシーンに対応している。 三重工場では、50 年ほど前から生産性向上に向けた改 善活動を続けてきた。そのときどきで最適だと考える活動 をいくつか実施してきたが、いずれも一時的に成果が出る ものの、なかなか成果を持続できないことが悩みでもあっ た。1990 年代には独自に TPM 活動をしていたが、2000 年代に入ってからはそれもまた徐々に停滞していった。前 工場長の小野世生氏(住空間事業部 三重工場 工場長付) は「当時、 会社の利益目標自体はクリアできていましたが、 活動がマンネリ化し、目に見える改善がされていないとこ ろに問題を感じていました」と振り返る。小野氏とともに 改善活動を主導してきた山村文明氏(同 製造部長)は「か つてわれわれが第一線で現場にいた時代には、自主保全の ための技能を一生懸命習得して、それを現場で伝承してい ました。 しかし年を重ねるにつれ伝承も滞りがちになって、 現場の人たちがだんだん設備に弱くなってきたという悩み がありました。 『やっているけど、なかなかうまくいかな いね』という感じでした」と当時の状況を説明する。 この状況を打開するため、小野氏は三重工場独自の目標 を掲げることにした。 「三重工場を預かっている以上、何 らかの形で『ナンバーワンの工場』を目指そうではない かと。そこで、月生産量を増やして床材シェア No.1 にな ろう、その効果は 5 年で 10 億円のプラスだということで 『5 年で 10 億円を達成し、業界 No.1 工場となる』という 目標をつくりました」 (小野氏) 。そのためには何をすべ きかの項目をつくっていく中で、 「これをやるにはやはり TPM がいいだろう」と考えた小野氏は、JMAC 支援のも と活動を進めることに決めた。TPM(Total Productive Maintenance/ 全員参加の生産保全)は、製造企業が持続 的に利益を確保できる体質づくりをねらいとしており、最 適なツールだった。 こうして、三重工場は JMAC をパートナーとして TPM
▲鏡面仕上げの床材(三重工場のショールームで)
の導入・推進に向けて動き出した。
- ▲TOP