ビジネスインサイツ66
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中本 晃
1969 年 株式会社島津製作所入社 2000 年 執行役員就任、分析機器事業部長 2001 年 取締役就任、環境計測事業部担当補佐、分析機器事業部長 2005 年 常務取締役就任、分析計測事業部長 2007 年 専務取締役就任、社長補佐、リスクマネジメント、広報、経理、法務担当 2009 年 代表取締役社長就任 2015 年 代表取締役会長就任
Akira Nakamoto
進みません。これができるような社内文化の醸成も必要で す。私がとくに大切だと思うのは「失敗を許容し、挑戦を 後押しする文化」です。失敗を許容するところまでだとま だ半分で、そこからもっと大事なのは、 「再挑戦する人を どうやって後押しするか」です。失敗したときこそ、マネ ジャーや上司が論理的で納得感あるサジェスチョンができ ることが重要です。失敗にくじけずチャレンジを続けるに は、本人の強い意志はもちろんのこと、周りのサポートも 大切なのです。
重要です。これからはお互いが企業として本当に生き残っ ていけるのかということを考えたら、ものをつくって納め るというこれまでの形態に留まらず、お互いが、それぞれ 独自の強い技術を育て上げ、それらを持ち寄って、まだな い独創的なものをつくり上げていくような仕組みが大事な のではないかと思います。
革新的な製品・サービスの提供で 社会に貢献し続ける
現在当社は創業 142 年になります。2075 年には創業 200 年を迎えることになりますが、そのときのあるべき 姿をこう考えています。現在は分析機器でも医用機器でも 研究室や実験室、あるいは検査室といった「特定の場所」 で 「特定の人」 が使用することが当たり前になっています。 しかし、50 ~ 60 年後には大幅な技術革新で、各種装置 が小型化やロボット化され、 さらには高感度化、 ネットワー ク化が進み、 「もっと身近な場所」で「誰でも」使えるよ うになっていることが望ましいと考えています。たとえば 診察室に行くと自然に分析装置があるような、そういう形 態で人の健康を常に見守ることができるようになりたいと 思い描いています。 そのためには、これからも人の健康のために医用と分析 の技術を融合し、幅広い領域において当社にしかできない 革新的な製品やサービスの提供を行えるよう、徹底して努 力していきたいと考えています。
本稿は 2018 年 3 月 6 日に開催した JMAC トップセミナーの基調講演を もとに作成したものです。
オープンイ ノベーショ ンと 社内資源の活用で生き残れ
そして、これからの時代にイノベーションを創出してい くためには、オープンイノベーションの推進も重要です。 オープンイノベーションと言うと社外ばかり考えますが、 よく考えると社内には多様な人材がいますから、まずは社 内でオープンイノベーションを推進することが大切です。 また、社外に目を向けると、産学官連携の共同研究・開 発も重要で、当社もかなりの件数を行っています。成功す るかどうか見極め難いものが多々ある中でやっていきます から、一本足打法的ではなく、常に複数のテーマを走らせ るようにしています。その中から 1 つずつでも製品につ ながったらいいのです。ですから、社内外からいろんな提 案があったときに、これは価値がありそうだと感じたもの に関しては「まずは共同して新しいものをやっていこう」 と言える仕組みや雰囲気は大切です。 社外との連携という意味では、取引企業との切磋琢磨も 講演を聴いて
経営はその後押しを心掛ける、これが島津製作所を長い間事業発展させてきた所以だ と思います。これからも好奇心を持ち諦めない社風がイノベーションを起こし、革新 的な製品とサービスで社会に貢献し続けていくと確信しました。
JMAC・代表取締役社長
中
本会長のお話を伺い、経営は思想であることを痛感しました。 「科学技術で 社会に貢献する」という社是のもとに社員が一丸となって活動をしている、
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