ビジネスインサイツ67
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「若手技術者の育成」においては、若手技 術者が新技術開発に挑戦できる場として「未 来会」を発足した。2016 年 6 月に始まり、 現在は 3 期目だ。 「未来会」では自主性が重視されており、 参加するかどうか、何を研究するかも本人が 決めている。 「こういう技術をやりたい」と いうシーズをもとにマーケティングや社外調
廣瀬 正純 氏 (ファインポリマー事業部 技術統括部 第 2 部 部長) 橋本 明弘 氏 (ファインポリマー事業 部 技術統括部 技術企画推進部 技術 企画推進課 課長)
査を行うメンバーもいれば、何をやりたいの か模索しながら仲間をつくってさまざまなこ とを調べ、何か新しいことをしたいというメ
組織の壁を越えて、 ともに課題解決に挑む
それぞれの部課で全員参加の技術 KI を進める一方で、 同事業部では同手法を活用した「中長期テーマの推進」と 「若手技術者の育成」への取組みも開始した。 「中長期テーマの推進」においては、 「とくに重要なテー マ」や「中長期テーマ」の必達を目指す「テーマミーティ ング」を実施している。テーマ関係者が集うこのミーティ ングで、各テーマの状況を共有し、意見を出し合う。 また、製品部門の重要テーマに関しては、他部門から専 門知識を持った技術者をゲストとして招き、協力を仰いで いる。 「KI を導入する前は、他部門との壁が非常に高く、 自部門のみで活動していましたが、組織の壁を越えてゲス トを呼ぶようになってからは、その壁をいかに低くするか という取組みも行っています」 (佐藤氏) その結果、日常業務においても部や課を越えてアドバイ スし合うようになり、アイデアも集まるようになった。こ の点について廣瀬氏は、 「壁がなくなったのは間違いない と思います。その昔は『他部署に配合は教えない』という 感じがありましたが、今はまったくそういうことはなく、 若手同士で情報を交換しています」と話す。佐藤氏は「壁 がなくなり、 違う視点でものを見られるようになりました。 自分たちだけでは視野が狭くなりがちなので、部外の人に 来てもらい、まず壁を壊してもらって、いろんな考え方を 加えていく。すごく相乗効果がありますね。横串が刺さっ てきたのかなと思います」と語る。
ンバーもいる。 このように、かなり自由な活動ではあるが、年を追うご とにその内容は進化している。これについて、活動推進を 担う事務局の橋本明弘氏(同事業部 同部 技術企画推進 部 技術企画推進課 課長)は、 「1 年目は事務局主導に よる運営でしたが、2 年目以降は参加者主導の活動に変え ていきました。たとえば、2 年目からはキックオフ時に経 営層と参加者が宣言し合い、想いを共有して、双方で未来 会の位置づけがズレてきていないかを確認しています。発 表会の後には、経営層や管理職からのフィードバックや表 彰を取り入れました」と説明する。 佐藤氏は「未来会を通じて、若手技術者が市場調査をし て、技術を使ってどうやって売っていくのか、ということ を自ら考えるようになりました。 『若手技術者の育成』 と 『未 来会』と『MOT(技術経営) 』がうまく融合していて、非 常に成果が出る取組みだと思います」と語る。 JMAC の星野は、 「こうした活動では、経営層の想いと 事務局のサポート・運営がぴったりかみ合うとうまくいく はずですし、実際に良い取組みにつながっていると思いま す。また、自走化できるか否かの転換点は、与えられた枠 を超えて、 『自主的にどうしていきたいのか』を沸き起こ していけるかというところにあります。 そうした意味でも、 橋本さんはきちんと枠を与えて、少し窮屈になってきたら もう 1 回、 『ではどうしたいんだ』というところをうまく 引き出しながら活動を進めてくださっていると思います」 と語る。
経営層と想いを共有し 未来をつくり出す
基盤はできた、次は全員で 勝てるチームづくりだ
今後のビジョンと課題について事務局の橋本氏は、 「活
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