ビジネスインサイツ67
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経営基盤の強化に向けたさまざまな取組みについて、
JMAC が支援した事例を紹介します。
〜「自分ごと」だと気づいたときに、活動は回り始める〜
組織横断プロジェクトで 人をつなぎ、強い工場をつくる
コストダウンを徹底し 赤字経営を立て直せ
兵庫県尼崎市に本社を置く SEC カーボンは、1934 年 (昭和 9 年)の創業以来、一貫して炭素(カーボン)の世 界を追究し、その機能を活かして日本の産業の発展に貢献 してきた。アルミニウム製錬メーカーの電解炉に用いられ るカソードブロック(SK-B) 、鉄鋼メーカーの電気製鋼炉 に用いられる人造黒鉛電極、半導体や宇宙航空分野をはじ めとした先端技術を支える特殊炭素製品など、 独自の技術、 生産体制から生まれる高機能製品は、現在では国内のみな らず海外でも高い評価を受けている。 今回、取材で訪れた京都府福知山市の京都工場は、50 万平方メートルの敷地を有し、世界トップクラスの一貫生 産工場である。1974 年の竣工以来、盤石の体制で国内外 への製品供給を行ってきた。しかし、3 年前に市場の需給 バランスが崩れて生産量が激減してからは、赤字経営を余 儀なくされてきた。 同社は厳しい経営環境のもとで、経営の立て直しを図る べく外部機関の支援を受けることを決断した。当時、京都 工場長として本活動を導入し、その後 2018 年 5 月に代 表取締役社長に就任した中島耕氏は、 「国内外の同業他社 と戦っていくためのコスト削減は従来から行っていました が、それは自分たちのやり方の延長線上でしかなかった。 ですから、今度はコンサルタント会社に入ってもらい、違 う切り口で取組みをしたかったのです」と語る。また、ど ちらかというと保守的な職場環境だったため、 「新しいこ とに自ら取り組むパワーを養ってほしい」という想いもあ り、部門を超えた組織横断的なプロジェクトという方法を とることにしたという。 コンサルタントの選定にあたっては、数社から提案を受 けて比較検討した。選定に関わった岩井清一氏(執行役員 経営企画室長)は JMAC を選んだ理由について、 「JMAC は実績がとても豊富で、提案内容もわれわれ製造業に一番 フィットしていました。Q(品質) ・C(コスト) ・D(納期) を基本に、製造業がどう体質改善し、コスト削減をしてい けばよいのかを提案してくださったので、経営陣の理解も 得やすかった」と述べる。 こうして 2015 年 8 月、SEC カーボンは JMAC をパー トナーとして、コスト削減に向けた新たな取組みへと踏み 出した。
「またやるの? 」 逆風の中のスタート
プロジェクトのスタートにあたり、まず行ったのは「工 場診断」だ。現状を分析し、あるべき姿との差異を「削減 余地(ロス) 」として導き出す。現場測定やヒアリングな
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