ビジネスインサイツ67
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〜「この研究は私がやる」 一人称の「やりたい」が新価値を生みだす〜
ビジネス成果に向けて 企業事例をご紹介します。 JMAC が支援した
技術シーズ探索で お客様に驚きと感動を
株式会社ノーリツ
開発は「楽(らく) 」ではないが、 「楽しい」――技術者のもの ゆえに開発の現場においては、技術者が「やりたいこと」と企 業が「求めること」をどのようにつなぎ、成果に結びつけるか づくりへのモチベーションは、こうした想いに支えられている。
が重要となる。ノーリツでは、技術者たちが本当にやりたいこ しつつある。そこには、実業務とプロジェクトの両立に悩みな の軌跡と今後の展望を伺った。
とを追究できる場をつくり、技術シーズ探索で一定の成果を出 がらも、活動を楽しむメンバーの姿があった。今回、その活動
取締役 兼 常務執行役員
腹巻 知 氏
Satoshi Haramaki
ミッションは新価値創造 それは 3 人の特命チームから始まった
ガス給湯機器でおなじみのノーリツは、戦後間もない 1951 年(昭和 26 年)に創業した。 「お風呂は人を幸せ にする」という想いを原点に、戦後の復興期に人々の生活 環境を向上させるべく、日本における風呂文化の普及に尽 力してきた。創業から 67 年経った今、 「NORITZ」のロゴ とともにわれわれの生活に浸透した自宅風呂文化は、日本 の良き習慣として定着した。 しかしこの 10 年で、ノーリツは大きな環境の変化を迎 えた。新築着工件数の減少とともに国内需要も減りつつあ るのだ。結果、原価低減に注力する時代が長く続いた。こ
うした中において、開発部門の技術者たちは目先の業務に 忙殺され、 「新しい価値を生みだす」という本来の研究開 発にはなかなか取り組めずにいたという。 この現状を変えるべく、動き出した人物がいる。腹巻知 氏(取締役 兼 常務執行役員 研究開発本部 本部長 国内事業本部 温水事業部 部長)だ。腹巻氏は 35 年前 の入社以来、技術畑を歩んできた。グループ会社での社長 を経て 7 年前にノーリツの研究開発本部に戻ったとき、 「開 発部門はコストダウンするための部隊ではない。新しい機 能を開発し、 商品に付加価値を生んでいくことこそが、 ミッ ションのはずだ」と感じたという。 そこで腹巻氏は翌 2012 年、 「先行技術や商品の付加価 値を生むための部門」を発足した。それは 3 名の特命チー
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