ビジネスインサイツ67
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ムからなる小さな組織だった。そして、すべてはここから 始まった。 た。活動目的は、 「お客さまに驚きを与えるシーズアイデ アの探索」 。全体でテーマの方向性を決めたうえで、チー ムごとに自由な切り口で行うこととした。JMAC の高橋は 定期的にノーリツを訪問し、チームごとに面談をした。そ の中で、ディスカッションしながら「筋の良さ」を見るた めの視点をレクチャーして、次のステップへ進めるテーマ の選定をしていった。 事務局を担いながら 2 年目のメンバーとしても活動し た浜岡益生氏(同 メカユニット研究室 第 2 グループ) は、実際の活動について「最初にどのようなことを調べる のか大枠を決めて、その中で自分の興味のある技術を深堀 りしていきました。 たとえば、 “ 街中で見つけた技術 ” や “ 他 社が使っている技術 ” で気になったものを深堀りしていっ て、 『これをやってみたい』と思ったものをどんどんテー マとして選んでいくのです」と説明する。 社外の有識者に話を聞きに行き、それを取り入れて自分 なりに実験して新たな発見をしたこともあった。また、さ まざまなことを調べていくうちに、自社内で埋もれていた 技術を発見することもあったという。 「社内で過去にやっ ていた人がいると、すぐに話を聞きに行けたのがよかった ですね。 『このときはなぜこうだったか』 『どんな問題点が あったのか』 『その技術は今だったら使えるかもしれない のか』などを知ることができたので、いい発見ができまし た」 (浜岡氏) 今回のようなシーズ探索活動では、未確立の技術を調査 するため、 直近のニーズにマッチすることはなかなかない。 しかし、先のケースでも見たように、そこで得た技術的知 見は、いつか役に立つときが来るかもしれない。そこで、 この活動では 「誰が調べたか」 「検討プロセス」 「得た知見」 などを「技術カタログ」と呼ぶ統一のフォーマットに整理 して、蓄積することにした。濱田氏は「われわれは新規事 業を次々と興す会社ではないので、この活動では事業提案 ではなく 『技術を財産として残す』 ことを目指しています。
濱田哲郎氏 (研究開発本部 要素 技術研究部 部長)
「筋のいい開発テーマ」をねらえ
特命チームのトップとして活動したのが、 濱田哲郎氏 (研 究開発本部 要素技術研究部 部長) だ。ミッションは 「新 しいことを企画・開発・管理する」と幅広く、何をすべき か模索するため「とにかくあちこちのセミナーや展示会に 足を運んだ」という。JMAC と出会う前には、外部講師を 入れて、多くの部門・社員を対象に大規模なアイデア募集 を行ったこともあったが、次につながることはなかった。 その後も模索を続け、さまざまなセミナーに参加する中 で、2013 年、ついに今回の活動につながる「自社技術を 活かした新事業セミナー」 (日本能率協会主催)に参加す ることとなる。JMAC チーフ・コンサルタントの高橋儀光 が講師を務めていた。濱田氏は、講義後に高橋にさまざま な相談をする中で、JMAC に支援を依頼することに決めた という。その経緯について高橋は「 『いろいろとアイデア 発想を行ったが、次につながらなかった』と相談を受ける 中で、 『アイデアを実績につなげる活動を一緒にやりましょ う』という話になりました」と説明し、活動のポイントに ついては「アイデアがいくら面白くても、事業戦略がなけ れば出口まで行くことはできません。アイデアを出口まで つなげていくためには、ビジネスとしての『筋の良さ』を 整えることが重要です」と解説する。 2014 年から始まった活動では、 「3 名の特命チームの 中にいわば『第 4 のメンバー』として高橋さんに入って いただいて」 (濱田氏) 、1 年間かけて先行技術開発テーマ の創出を行った。 そこである程度の成果感を得たことから、 さらにスピード感を持ってテーマを増やすため、研究所全 体で行うプロジェクト活動へと展開することにした。 こうして、2012 年に 3 名の特命チームから始まった活 動は、2016 年 2 月、本部直轄のプロジェクトとして新た なスタートを切った。
アイデアが出口までつながる
若手のエース級メンバーを結集 自由なフィールドで開花する発想力
プロジェクトでは、各部門から 30 歳前後のエース級メ ンバーを選抜し、 3 〜 5 名を 1 チームとして 3 チームつくっ
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