ビジネスインサイツ68
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JMAC イチオシの IoT ツール紹介 Part 1
「遊び心」が改善の 気づきを加速させる
「誰でも発明家」をコンセプトに、IoT ブロックと簡単なプログラミングで、アイデアを ル時代の新しい改善の発想を生む感性が身に付くツールとして、JMAC も研修プログ MESH 開発時のエピソード、MESH による職場の改善への期待などを聞いた。 簡単に形にできるソニーの「MESH」 。学校教育の現場にも導入が進んでおり、デジタ
ソニー株式会社 MESH
meshprj.com
ラムに取り入れている。MESH 開発者の萩原丈博氏、事業開発担当の沼田洋平氏に
――MESH 開発のキッカケを教えてください。
く先に進めたほうがいい、ということを学んだのです。 いわゆるデザイン思考です。それと言葉での説明よりも 「見せる」を徹底することです。言葉だけでは発信側と 受け手側にズレが出るので、モノを見せて仮説検証する ことの大事さを学びました。
――デザイン思考を具体的にどう適用しましたか。
萩原 キッカケは「目覚まし時計」です。洗面所に行
かないと止まらないものがほしいというのが発想の原点 です。ほしい機能をアイデアのまま自由に配置して使い たいなと考えて、最初はスピーカー、マイク、振動セン サーなどのアイデアを「紙」 (写真)でつくって、ヒア リングしました。たとえばインターホンの横にマイクの 紙を置いて鳴るとスマホに連絡がくるなどのアイデアを 人に話してみると 「実はこんな困りごとがあって…」 と、 誰もが日常で課題を抱えていることがわかりました。課 題解決のハードルが高くて実現しにくいことでも、ハー ドルを下げることで「できること」がもっと拡がるだろ うとスタートしたのがこのプロジェクトです。
萩原 ものづくりや課題解決に活かすために最初は課
題抽出や共感から入って、それを問題定義してプロトタ イプでテストして、ヒアリングでその人の課題を解決す るには何が必要かを把握しました。次の仮説検証の段階 では、たとえば何万円か払ってでも使う人はいるだろう か、となるわけです。 プロトタイプでワークショップが開けるようになって から、大学の先生方からその価格なら買いたいとの評価 をいただきました。日常生活の課題解決からスタートし ましたが、強烈なニーズがある分野として教育は一つの エリアになりそうだということがわかってきました。
デザイン思考で仮説検証を繰り返す
――まず「紙」にして説明したのは面白いですね。
萩原 MESH プロジェクトを始める前の 1 年間、会社 え方がガラッと変わりました。
――アイデアからプロトタイプまではスムーズでしたか。
の公募留学制度でスタンフォード大学に行き、そこで考 プロトタイプをいかにお金と時間をかけずにつくれる か。より早く本質的なものをつくって、仮説検証して早
萩原 実はかなり時間がかかりました。もともと私は
ソフトウェアのエンジニアで、ハードウェアは今回が初 めて。ヒアリングで仮説検証していくプロセスを進める 一方で、 「つくる技術」の勉強にも苦労しました。その ころ(2012 年ごろ)は、ものづくり スペースや 3D プリンターはまだそ こまで一般的ではなく、試作をつく る環境自体があまり整っていなかっ たし、つくる技術に何が必要か、ど うデザインするか、などもネットや 周りで知っている人に聞きながらの 推進でした。ちょうど「DMM.make」 が 3D プリントサービスを提供するよ
▼ 「紙」 (写真左) でアイデアを表現して、 プロトタイプ、 製品になるまで。2012 年の 「目 覚まし時計」の発想から 3 年後に製品化できた
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