ビジネスインサイツ68
- ページ: 5
- TOP Message
5
笹 宏⾏
Hiroyuki Sasa
1982 年 オリンパス光学⼯業株式会社(現オリンパス株式会社)⼊社 2001 年 内視鏡事業企画部⻑ 2005 年 オリンパスメディカルシステムズ株式会社 第 1 開発本部⻑ 2007 年 同社 マーケティング本部⻑ 2007 年 オリンパス株式会社 執⾏役員/オリンパスメディカルシステムズ株式会社 取締役 2012 年 オリンパス株式会社 代表取締役(現任)/同社 社⻑執⾏役員(現任)
主体のため伸びしろは少なく、その他 3 つはシェアを増 やせるということ、その場合、海外メーカーが競争相手に なるということがわかります。 また、今後は事業成長の重心を①消化器内視鏡による診 断領域から②④の治療領域へとシフトしなければなりませ ん。医療費抑制が求められる中、病院は消化器や外科内視 鏡などキャピタル製品への投資を控える一方で、老齢化で 患者さんが増えると症例数も増え、それに紐付く処置具や エネルギーデバイスなどのシングルユース(使い捨て)治 療デバイスは伸びていくことが予想されるからです。 グローバルで勝ち抜いていくためには、従来の強みに加 えて、欧米のグローバルカンパニー並みの経営スピード・ 経営効率が必要です。われわれは今後、 「経営意思決定の 迅速化・効率化」 「リスクマネジメントの一元化」を同時 に実現しなければなりません。すなわち、 「グローバルグ ループ一体の経営体制」に転換しなければいけないという ことです。 また、 グローバルタレントが活躍できるよう、 「グ ローバルで統一した人事制度の策定」も進めています。 さらに、治療領域の強化に合わせた事業体制に変えてい きます。これまでは、キャピタル製品や治療デバイスを含 めて診療科別に 5 つの事業ユニットに分かれていました。 しかし、両者はビジネスモデルが違いますから、キャピタ ル製品を中心とした内視鏡事業とシングルユースデバイス を中心とした治療事業の 2 つに分けた体制に変えていき ます。この 2 つの相反するビジネスモデルを両方持つ会 社はなかなかありません。われわれはこれを強みとして、 世界で唯一のグローバルヘルスケアカンパニーを目指して いきます。
腹落ちできる経営こ そが One Olympus を実現する
そして、2018 年5月には経営理念を刷新しました。今 説明してきたことをこれからやり遂げるためには、さらに モチベーションを沸かせなければなりません。ですから、 「自分たちは何のために働いているのか」ということが腹 に落ちるものが必要でした。それが新グローバル経営理念 「私たちの存在意義『世界の人々の健康と安心、心の豊か さの実現』 」です。オリンパスには健康や安心、心の豊か さの実現につながる製品があり、事業活動を通じて広く社 会に貢献していくことが私たちの使命です。そして、それ を支えるのがコアバリューの「誠実・共感・長期的視点・ 俊敏・結束」です。 また、社員がこれを自分ごととして捉えるためにはボト ムアップが大切です。経営理念の策定にあたっては世界中 の社員の中から 300 人に手をあげてもらい、世界各国で 80 回以上、存在意義や価値観について討議しました。 これを 2018 年 5 月にリリースし、10 月には先述の大 きな改革「グローバルグループ一体となった経営体制への 転換」を社員に説明しました。そういう背景もあって、今 はそれぞれの職場で「自分たちはどのようにしてコアバ リューを目指すのか」を繰り返し話し合ってもらうことも 始めました。 器だけではダメ、仕組みだけではダメ、そこに社員のみ なさんが共感を持ってついてきてくれるための仕組みをつ くり、それを実行する。これが大切だと思います。今日の 話が、何らかの参考になれば幸いです。
本稿は 2018 年 11 月 27 日に開催した JMAC トップセミナーの基調講 演をもとに作成したものです。
講演を聴いて
を生み出す取組みには多くの参加者が感銘を受けたと思います。社員の方々が自ら作 成したメッセージ動画は多くの人に感動を与えました。事業の拠り所、それは顧客で あり、従業員であると思います。今回はこのことを改めて認識させてもらいました。
JMAC・代表取締役社長
笹
社長が社長になられてからの約7年間を正直にそして真摯に語ってくれまし た。人柄が醸し出されたひと時でした。負の遺産を払拭して新生オリンパス
- ▲TOP