ビジネスインサイツ68
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~研究者の「起業家マインド」が新時代の技術をつくりだす~
ビジネス成果に向けて 企業事例をご紹介します。 JMAC が支援した
未来志向のアイデアで オンリーワンの技術創出を 目指す
東芝テック株式会社
新規事業の企画は千三つ(せんみつ)である――千のうち三つ しか成功しないとも言われるこの世界に、挑戦し続ける研究者 だ。数限りないアイデアを出し続けるために、彼らが選択した たちがいる。東芝テックの「未来 Create 活動」のメンバーたち 方法とは。そして、新規事業の企画に挑戦し続ける中で、どの ようにしてモチベーションを保ち続けてきたのか。活動で培っ たスキルと信念を糧に、新たに目指す境地とは。今回、活用し た 5 つのアプローチの事例を交えながら、活動の軌跡と今後の 展望を伺った。
商品・技術戦略企画部 リサーチ&デベロップメントセンター センター長附
菅野 浩樹 氏
Hiroki Kanno
「第 3 の事業の軸」をつくる
東芝テックは 1950 年(昭和 25 年) 、当時の東京芝浦 電気株式会社(現・株式会社東芝)から分離独立し、当初 は蛍光灯、和文タイプライタが主要事業であった。現在は POS(販売時点情報管理)システムを中心として流通小売 業向けソリューションを扱うリテール事業と、デジタル複 合機など主にオフィス向けソリューションを扱うプリン ティング事業の 2 つを柱とし、オート ID(自動認識)や インクジェットヘッドも含め国内外で広く展開している。 POS システムは国内では TEC ブランドとして知られ、 国内・海外ともにシェア No.1 を誇るが、最近とくに成長
未来 Create 活動で
しているのはセルフレジだ。2017 年に衣料品店向けに開 発した「RFID 読取りセルフレジ」は、その革新的な技術 が話題を呼んだ。従前のセルフレジでは客が自分でバー コードをスキャンする必要があったが、このセルフレジで はその必要がない。無線の「RFID タグ」ですべてを一括 でスキャンできるため、買い物かご内の複数商品を自動で スキャンしてくれる。繁忙時のレジ待ち時間の短縮と店舗 内の回転率向上が期待できるこの新技術は、リテール事業 (セルフレジ) に RFID の自動認識技術を応用したソリュー ション提供だ。 こうした先駆的な開発を進めながらも、同社は近年の急 激な事業環境の変化に危機感を募らせている。リテール事
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