ビジネスインサイツ70
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- に積極的に取り込めるようになりま
小規模チーム導入の結果、 「開発 と増加。さらに「新規の製造支援 業務」 も増加し、組織改革プロジ 業務」 のシェアが 5%から 28%へ ェクトが新規事業に向けて好循環
5 % 28 %
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人的環境を 整え パフォーマンスを 上 げ る
していることがわかる。
テーマの見 直しで 大 幅な 利 益 改 善
した ﹂
そしてもうひとつ︑宮垣氏が小規
模チームを導入した理由がある︒ 字の追求にもこだわった︒
多くの企業でも課題になっている ﹁ 業務の属人化 ﹂ と ﹁チームのコミュ ニケーション不足 ﹂は︑業務の効率 化︑新規事業参入へのスピードを失 速させる︒三菱商事ライフサイエン スは︑企業の合併︑再編を繰り返し て生まれた会社であるがゆえ︑密な コミュニケーションはなおさら大き
「第 23 回 R&D イノベーション
宮垣氏は︑今回の組織改革で︑数
﹁ 当社のように︑原籍が異なるメン
バーが集まるチームは︑相手とは異
﹁ 利益改善額を集計して︑チームメ
なる価値観を持っているケースが多
ンバーに対しても見える化を行った
い︒コミュニケーション不足は相手
ところ︑自分でも気づいたことがあ
に対する怖れや不信︑社内の溝が生
りました︒工場︑製品ごとに利益改 人材の異動によるノウハウの消失 はあってはならない︒ましてやR&
まれ︑悪循環を生みがちです︒価値
善効果が高いもの︑たとえば生産量
観を認め合う仕事の仕方を追求する
が大量のAという製品のように収率
ためにも︑この小規模チーム導入は
属人化を廃止し、業務は
チーム制へ。技術の継承
な課題だった︒ ﹁ 私たち生産技術本部プロセス開発 グループは既存品の工程改良やコス トダウン︑開発品の工業プロセスの 確立などを担うセクションです︒会 社からのミッション は︑成 果 利益 の 改 善︑ 業務の効率化となって いますが︑たくさんの 会社が集まった企業と いう特徴があり︑人材 のローテーションが速 いという事情がありま した︒ 年前に 人い
が %改善するだけで利益改善効果
効果があったと思います ﹂
フォーラム」 の講演資料より
Dのフィールドでノウハウは財産だ︒
﹁これまでは各人にテーマがぶら下が っており︑メンバー間での協業がほと んどありませんでした︒そこで︑小 規模チーム制の導入を行ったわけで す︒たとえば新しいプロジェクトが 立ち上がったとき︑適正なメンバー をピックアップして小規模チームを つくります︒以前は 件あったテー マのうち︑ 案件は個人で担当して いましたが︑改革後は テーマが小 規模チームの担当に︒この取り組み
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が高いものがある︒一方︑苦労した
実際に年に 回提出してもらう自
割に利益改善額が低い製品もありま
己申告書を見ても︑メンバーの仕事
もスムーズに
した︒そこで長年慣例的に行われて
への意欲やコミュニケーションが格
きた効果額の小さい利益改善テーマ
段に高まったのである︒
や売上の小さい開発テーマを見直し
た結果︑大きな利益改善額を達成し
リスクも生じます。このような課題に同社では「小規模チームの導入」
らす一方で、コミュニケーションギャップや組織の生産性を阻害する
れるようになり︑その分︑新たな研
究テーマや新規プロジェクトテーマ
と利益改善額の「見える化」 によりメンバーの協力体制を構築し、業務
効率化を実現しました。背景の異なるメンバーが集うチームの融合と
企業の合併・再編は 「異なる知」 の融合を促し、事業成長の機会をもた
小規模チームと見える化による成果
で︑技術の継承がスムーズになった
には 人しか残ってい ないといった状況で す︒これでは︑技術の 継承ができないという 問題が残されていまし た﹂
への比重が大きかった仕事のやり方
から︑新規分野に比重をかけられる 体制に変えることができました ﹂ 開発部門から上がってくるオー ダーにも︑応えられる余力ができた ことは大きい︒
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たメンバーは︑ 年後
のはもちろんですが︑既存製品対応
して多くのチャレンジに取り組まれた事例でした。 して、月次報告書に記載し、メン バーにも見える化した。また、効 果額の小さい利益改善テーマや、
2017 年 5 月から利益改善額を集計
売上の小さい開発のテーマは見直
しも行った。
近藤晋 (R&D コンサルティング事業本部長 シニア・コンサルタント)
ました︒さらに各人の工数が空けら
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見える化
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Business Insights Vol.70
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