ビジネスインサイツ72
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- 生意気だと言われようと ブレイクスルーをするには 自分を曲げないことも大事です︒
A T S U S H I N I I M I
第 回で︑マツダの工場視察に伺い
ましたが︑長くトヨタの生産現場に
携わられていた新美さんは︑感じら ょうか︒
れたことが多かったのではないでし
新美 そうですね︒マツダはクルマ
のつくり方をいったん白紙にして︑
ゼロから開発する︑ディーゼルとガ える︒そして生産し︑調達して販売 する︒これが一連の流れですが︑中 心にあるのは生産現場です︒ものづ くりの現場で働く人は視座を高く︑ 視野を広くもつことで︑市場が今必 要としているものを理解し︑それを 効率よく生み出すことができるので す︒それが生産現場の価値であり︑ やりがいでもあります︒生産技術者 は開発設計から生産︑販売︑サービ スに至る 〝 良い流れ 〟 づくりを向上さ せる 〝ドライバー〟 になれるんです︒ 石田 全体を俯瞰できる立場にある ということですね︒ 新美 そうです︒お客さま︵ 市場 ︶ の要望なら必要なら設計を変えれば いいし︑自分たちで自分たちの技術 を磨く必要もある︒そういう高い視 点であってほしいと思います︒ 来期に向けて︑どのようなプ 石田 ログラムが必要だと思われますか︒ 新美 先端技術を見ておくことでし ょう︒ 何が起きようとしているのか︑ 技術者ならば知っておくべきです︒ たとえば兵庫県の播磨科学公園都市 にある大型放射光施設﹁ Spring-8﹂ なども︑生産技術幹部交流会の視察 の対象としてふさわしいですね︒
ソリンエンジンを同じラインでつく
るという驚きの発想を実現したわけ
ですが︑ ﹁ 失敗したら終わり ﹂ という
絶体絶命の状況でブレイクスルーを
生み出しました︒あれこそがものづ
くりの目指すところです︒クリーン
マツダに学ぶ ﹁ 当 たり前 を 疑 う 力 ﹂
石田 生産技術幹部交流会 期の
ディーゼルエンジン ﹁ SKYACTIV-D﹂ 界に称賛されました︒
を生み出し︑そのテクノロジーは世
石田 構想から 年間かけて商品化
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に挑戦されたわけですからね︒
新美 二兎も三兎も追って︑絶対に
妥協しなかった︒モデルチェンジと
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を私たちに教えてくれました︒
いう概念をなくして︑シリーズ全体
生産技術に携わる人間は︑自分で
を﹁ 次世代 ﹂ というコンセプトで一 わけです︒
自分に枠をはめてはだめです︒それ
括企画・開発した︒発想が全然違う
は技術の枠も︑部門の枠もしかり︒
私は︑ 物理の世界にできないことは
﹁そんなことできるわけない ﹂とい
ないと思っています︒きっと何か手
う当たり前をまず疑い︑ ﹁ 本当にで
がある︒常にそれを求めてほしい︒
きないのか ﹂ と考える︒そして﹁ 何
石田 新美さんもトヨタで 年かけ
をどうすればできるのか ﹂ ﹁このや
て︑ドアレス工法を実現されました
り 方 で は だ め だ っ た が︑ほ か の 手
ね︒今では業界のスタンダードな工
は?﹂と考え方を変えることでブレ
法になっています︒
イクスルーが生まれる︑ということ
新美 ドアレスの難しかったところ
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