ビジネスインサイツ72
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- ものづくりは 人づくり
的な立場の人たちに設 備面での技術を教える のが目的でした︒当時 は生産現場の人に対し て設備に関することを 教えるシステムがなか っ た ん で す︒す る と︑ スキルにばらつきがで る︒そ の 差 は 生 産 性︑
こそ、サントリーが後世に伝
えていくもっとも大切な言
全従業員の志であるこの言葉
創 業 者︑鳥 井 信 治 郎 氏 の 口 癖 に
持続的にキャッシュを生み出す
﹁なんでもやってみなはれ︑やらな わからしまへんで ﹂という言葉があ
技 術力のブラッシュアップなどが課 題だが、いずれも 人づくり ありきである。
現場力を強化する
った︒この言葉に秘められていたの は︑価値ある商品をつくり出すため に︑積極果敢に挑戦し続けよ︑とい うことだ︒そしてこの言葉はサント リーの企業理念となり︑ものづくり の根幹ともなっている︒ 京都府長岡京に︑ ︿ 天然水のビー ル工場 ﹀ 京都ブルワリーがある︒ ザ ・ プレミアム・モルツの生産拠点だ︒ この広大な敷地の一角に﹁ものづく りスキル・ナレッジセンター﹂が完 成したのは2015 年︒人材育成 に 特 化 し た セ ン タ ー で︑現 在 で は
品質向上を追求し続けるための現場力強化 、そして時代の変化を見据えた
創業当初から変わらぬミッションである顧客満足に加えて、
効率に現れてきます︒大阪工場と時
た︒また︑洋酒工場やビール工場な
を同じくして︑武蔵野︑利根川︑京
ど︑保全方法に違いがあるものの︑
課題 ・ ミ ッショ ン
都 の 各 ビ ー ル 工 場 で も︑そ れ ぞ れ
原理原則や不具合の解析手法など︑
〝メンテナンススクール〟という名
共通のスキルもあります︒それらを
前をつけてローカルで人材教育の学
統合して体系立てて人づくりをする
校のようなことを始めました ﹂と話 ジセンター所長の石垣政昭さん︒
ことになり︑全工場の従業員が学べ
すのは︑ものづくりスキル・ナレッ
る場所として︑このセンターをつく
お客様の期待を超える価値を生み出す
りました︒今では年間約1500
なぜこのタイミングで始まったの
名がここで研修を受けています ﹂
次世代の技術を開発する
121の研修を実施している︒
﹁ 人材育成プログラムのスタート は︑1990 年︑大阪工場の倉庫
か︒それは︑ 各工場で
︵ Total
T P M
Productive Maintenance 全員参
の導入がスタートしたからだ︒
加の生産保全 ・ 全員参加の生産経営︶
ものづくりの根 幹 と なる 全 従 業 員への指 針
サントリーには﹁ものづくり行動
﹁それまでは︑設備保全は専門家の
指針 ﹂が定められている︒これは︑
ものづくり行動指針
やってみなはれ! やってみなわかりまへん
担当でした︒保全担当が設備をチェ
鳥井信吾副会長︵ 当時は副社長 ︶ が
ックし︑オペレーターが動かしてい
年に定めたもので︑上に
ましたが︑TPM を始めると現場
お客様主義
プロの矜持
のオペレーターが設備のメンテナン
鳥瞰考動
絆と連携
スも行うようになります︒つまり︑
自主保全ですね︒設備を動かしなが
2 4 3 5 1
2 0 0 8
項目を紹介する︒鳥井氏はかつての
インタビューで﹁ものづくりには︑
こうした志や行動の仕方が何より大
切︒ ﹃ものづくり行動指針 ﹄はグル
葉。写真はセンター外観。
TPM を 確 実に回 す た め 生み出した 教 育 システム
を活用して︑リーダー
K E Y WO RD 1
らメンテナンスを行うので︑このほ
ープの社員全員が考えたり︑行動し
うが断然効率がよく︑TPM を確
たりするヒントのあり方を示したも
実に遂行していけるようになりまし
C ase 0 1
のです ﹂と答えている︒また︑セン
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Business Insights Vol.72
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