ビジネスインサイツ JMAC40周年記念特別号
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- 経営企画部門が中心となって策定する中期経営計画のあり方について
進化する経営企画部門と 経営計画
経営企画部門出身の役員の皆さ んを招いた今回のパネルディスカ 営企画部門と経営トップ︑経営企
議論を起こすことが期待されてい る︒
一方で︑一般的な傾向として経
大薗 恵美
ッションでは︑パネリストから経 これは︑われわれが実施したア
営企画部門が主担当として持って
企業変革をリードする経営企画部門。 本稿では、
ンケートにも表れていた︒利益の
いる業務は︑中期経営計画︑中期
大薗教授が再考のポイントを整理する。
画部門と事業部門の間で率直な議 論が交わされることの重要性が指 摘された︒現場の知の深さは尊重 しつつ︑業界を超えた広い環境や その変化を視野に入れた議論を投 げかけたり︑他の事業部門とのシ ナジーなど全社視点での議論を持 ちかけたりすることができるのが 経営企画部門の強みなのだと︒ ここで勧められているのは︑単 なる﹁ 会話︵カンバセーション︶ ﹂ ではなく︑それぞれが異なる視点 から考えをぶつけ合い︑違いを認 識しながらも何らかの合意なり共 通理解を得ようとする︑ ﹁ 対話 ︵ダ イアログ ︶ ﹂のプロセスだ︒忖度 や遠慮は必要ない︒ここで想定さ れているのは︑奥の院にこもって 吸い上げられた数字を取りまとめ
成長が見られた企業では︑経営企
ビジョン︑経営理念だった︒いず
一橋大学大学院 経営管理研究科 国際企業戦略専攻 教授
画部門がより踏み込んだ活動を展
れも︑ 割から
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経営企画部門の 強みと期待は何か
て計画にする︑というような経営
うとしている︒
企画ではない︒経営企画部門が率
先して︑異なる視点から多角的な
中期経営計画の ねらいに立ち返る
割近い企業が︑
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企業変革の核となれ
開していることが明らかになっ
これらの業務は経営企画部門の主
た︒具 体 的 に は︑C E O 発 の 戦
担当であると回答している︒ ﹁上
略や特命事項を実践に向けて展開
場したら中期経営計画をつくらな
したり︑事業部門に不足している
いと⁝﹂と言われるように︑投資
情報やスキルを把握し︑支援した
家の期待も含めて︑多くの日本企
りすることだ︒今までどおりの仕
業が中期経営計画 ︵ 中計 ︶ を作成
事をしている限りは事業部門に十
している︒しかし︑何のために中
分な情報もスキルもあるはずなの
計をつくるのか︑それをどう使う
で︑増益企業では事業部門が新た
のか︑を改めて考えるべきときが
なことに挑戦していることがうか
来ているのではないか︒
がえる︒また︑統計的に有意にな 以下にそのあり方のチェックポ
るまでの強い傾向ではなかったも
イントとなる懸念点をいくつか述
のの︑増益企業の経営企画部門の
べてみた︒
ほうが︑社外とのネットワーク形
成にも積極的に取り組んでいる様
子がうかがえた︒増益企業の経営
中計づくりだけで 疲弊していないか
企画部門は︑企業変革の核となろ 中計には以前からさまざまな懸
懸念
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JMAC 40th Anniversary
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