ビジネスインサイツ JMAC40周年記念特別号
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- ワーメントして︑ 100を110
で︑ある部分だけ余剰ができるこ
にする︑あるいは100を120
とがあります︒その余剰を独り占
にする︒ ﹁その余剰分を誰かに絶
めせずに分け与えているわけで
えず与える ﹂ということが同時多
す︒つまり︑企業はひとつ得意分
発的に行われることによって︑利
野があれば︑それを伸ばせばよい
他がギフトギバーされながら全体 命の利他なのです︒
わけです︒ そのことに関してだけ︑
としてはうまくいく︒これが︑生
利他的にすると︑また誰かが別の
ことで利他的に振る舞ったものが
たとえば︑ある種のコウモリは
回ってくる︒ それを私は ﹁ 相補的 ﹂
洞窟で集団生活をしていて︑夜に
と言いますが︑互いに他を補い合
なると外へ出て行って家畜の血を
うような連携プレーがうまく成立
吸って戻ってきます︒仲間の中に
すると︑生態系全体が豊かになる
はたくさん血を吸えたものと︑血
のです︒
が吸えなかったものがいます︒そ あるとき︑エンパワーメントし
うすると︑お腹を空かせた個体に
て余分にできたら︑それを与える
たくさん血を吸えた個体が︑自分
ことができます︒人間社会は︑余
が吸った血を吐き戻して仲間に与
剰ができたらそれを数字に替えて
N次元の誰かに与えることで 「動的平衡」 が成立する
余裕ができた部分を他社に
えてあげるんです︒あるときは立
貯金したり︑内部留保にしてしま
場が逆転するかもしれない︒そう
1959 年東京都生まれ。生物学者。京都大 学卒業。米国ハーバー ド大学医学部博士 研究員、京都大学助教授などを経て青山 学院大学教授、米国ロックフェラー大学 客員研究者。 “ 生命とは何か ”を動的平衡 論から問い直した著作を数多く発表。
いがちです︒自然界では︑余剰な が利他なのです︒
いうことが絶えず循環しているの
ものは腐ってしまいます︒ですか
ら︑ 余剰分は動的なものに転換し︑
では︑企業力がつかないと余剰
余裕ができたらそれを絶えずどこ
ができない︑分け与えられないか
(ふくおか しんいち)
かに回していくのです︒
福岡 伸一 氏
というと︑そうでもありません︒ 企業活動でもそのような仕組み
青山学院大学教授
企業経営のあらゆることを︑生命
ができ︑うまく回すことができれ
と思いますが︑生物もいつでも余
や社会への貢献になるのではない
裕があるわけではなく︑ある局面
でしょうか︒
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Business Insights
のあり方と結びつけるのは難しい
ばそれこそSDG sですし︑環境
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