ビジネスインサイツ JMAC40周年記念特別号
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- ﹁ 次元良し﹂ を実現する 生命システムとは
N
分的に真似て︑少しずつ︑共生︑ 動的平衡︑双方性のネットワーク を広げていくことはできるのでは ないでしょうか︒
で何が起きたかというと︑ある細
りますが︑そういった環境の変化
胞が別の細胞を食べた︒取り込ん
が起きるとあっという間に崩壊し
だわけです︒普通だったらそのま
てしまうのです︒
三方良しの考え方をさらに拡大 して︑ ﹁ N次元良し ﹂のような考 え方にすべきです︒自分に余裕が できた部分を他社に︑あるいは誰 かに与えるということが相互に︑ 分散的に︑多発的に起これば︑組 織全体︑社会全体が強靱になり︑ あらゆるところで動的平衡が成立 すると私は信じています︒ ただし︑企業が環境との共生︑ サステナブルを実現するには長い 時間軸の中で結局は利己にもつな がる︑というようなパラダイムシ フトをする必要があります︒企業 はどうしても数字や成績を問われ ますから︑時間軸が︑日︑月︑年︑ 期というように短いタームです︒ 生命は 万年︑ 万年︑何千万 年という時間軸の中で︑みんなが 共存していくという生態系をつ くってきました︒ですから︑企業 が生命システムを真似るのは確か に難しいでしょう︒しかし︑全部 は真似できなくても︑どこかを部
﹁ 食う︑食われる ﹂のよ ま飲み込んで︑自分の体の一部に 一見︑
﹁ 競争 ﹂ ではなく ﹁ 共生 ﹂ が大切なのはなぜか
ず闘争して︑弱肉強食の中で勝ち いうふうに見えますけれども︑そ うではありません︒ 生命の進化の大きなジャンプを 見ると︑そこでは競争ではなくて 助け合いが起きています︒たとえ ば﹁ 細胞が原核細胞から真核細胞 に な る ﹂と い う 進 化 上 の 大 き な ジャンプが起きましたが︑それは どういうことかというと︑もとも との原始的な細胞は︑細胞の膜に
し︑分解して栄養素に変えてしま
うに見える行為も︑生命体の中で
いますが︑別の細胞を飲み込んだ
は動的平衡をさらに発展させるた
細胞は︑それを壊さずに自分の中 ました︒
か わ か ら な い け れ どN 次 元 の 誰 生命体は絶えず競争して︑絶え
で存続することを許した︒保持し
残ってきたものが進化の勝者だと 取 り 込 ま れ た 細 胞 は︑ エ ネ ル
ギーをつくる仕組みを非常によく
知っていた︒あるいは太陽光線を
補足する能力を持っていた︒それ
が取り込んだ細胞の中に入ってき
ました︒すると︑細胞の中にミト
コンドリアというエネルギー生産
工場がつくられることになり︑光
合成をする葉緑体ができるように アップできたわけです︒
なりました︒細胞は格段に機能を
11.17 TOP INTERVIEW SESSION
囲 ま れ た 中 に あ ら ゆ る も の が ぐ これを企業活動で見てみると︑
10
ちゃぐちゃにありました︒ しかし︑
大きくなった細胞の側は︑独占で
1
それでは非常に能率が悪い︒酸化 や還元︑合成と分解のような逆の ことを同時にするのに︑細胞の中 に﹁ 区画 ﹂ があるほうが良いわけ です︒しかし細胞の中は︑そんな に簡単に複雑化できません︒そこ
きたと喜ぶかもしれません︒しか
し︑共生しなければそこで使われ
ている仕組みや企業文化は単一の
ものになる︒もし環境が激変した
らどうなるでしょう︒生物界だと
寒冷化やウイルスの蔓延などがあ
JMAC 40th Anniversary
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